[PR]

 農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)は31日、遺伝子を自在に改変する「ゲノム編集」の技術を使って収量増を図ったイネを収穫した。ゲノム編集した農作物の野外栽培は国内初。実用化を目指しているが、今回は隔離圃場(ほじょう)で栽培され、収穫したコメは流通させないという。

 同機構は、ゲノム編集で米粒を大きくしたり、もみの数を増やしたりして、収量を従来種の最大1・2倍のイネの開発を目指す。開発にあたり、「クリスパー・キャス9」という手法で特定部位を切断するゲノム編集技術を使った。

 外部から他の品種や生物の遺伝子を入れる「遺伝子組み換え」作物の栽培には、国の厳しい規制がかかっている。今回は切断後はイネ自身が起こした変異で、外部から別の遺伝子は組み込んでいない。それでも「遺伝子組み換え」と同様とし、隔離した計10アールの圃場で鳥や虫の侵入を防ぐ網を張り、食用米や飼料米約120系統が実った。

 小松晃上級研究員は「ゲノム編集はより効率的に新品種を生み出せる可能性がある。中国などでは急速に研究開発が進んでいる」と話す。どのイネが収量増に優れているかは3、4年栽培して判断する。実用化は安全性について国の判断を仰いでからになるという。(三嶋伸一)