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 神奈川県大井町の東名高速で6月、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡、娘2人がけがをした事故で、自動車運転死傷処罰法の過失運転致死傷などの容疑で逮捕された建設作業員石橋和歩容疑者(25)=福岡県中間市=について、横浜地検は31日、より罰則の重い同法の危険運転致死傷罪と、暴行の罪で起訴し、発表した。

 石橋容疑者が一家のワゴン車を停車させてから事故が起きるまでの約3分間をどう評価するかが焦点だった。地検は、この間にあった暴行も含めて一連の流れで起きているほか、身動きができず事故から免れるのが困難だった状況からも、危険運転致死傷罪が想定する「運転中の危険な行為」に含まれると判断した。

 地検などによると、石橋容疑者は6月5日午後9時半すぎ、手前のパーキングエリアで車整備業の萩山嘉久さん(当時45)=静岡市清水区=から車の止め方を注意されて腹を立て、萩山さんの妻友香さん(当時39)が運転する一家のワゴン車を高速度で追走し、極端に接近。前に割り込んで減速し、友香さんが車線変更をしても同様の妨害を3度繰り返して停車させ、嘉久さんの胸ぐらをつかむなど暴行を加えた。そのうえで後方から来たトラックによる追突事故を引き起こしたとされる。

 一連の「あおり運転」は約1・4キロに及んだ。調べに石橋容疑者は「文句を言われてカッとなり、直接言い返してやろうと思った」などと供述しているという。

 過失運転致死傷罪は法定刑が「7年以下の懲役」などとされているのに対し、故意があったとみなす危険運転致死傷罪は「1年以上の有期懲役」。上限は懲役20年だが、他の罪が併合されるなどすれば懲役30年まで適用できる。裁判員裁判の対象事件となる。

 嘉久さんの母文子さん(77)は取材に「あの子たちの無念を少しでも晴らせてよかった」と話した。友香さんの父親(72)は「どんな罪で処罰されたとしても、娘は帰ってきません。それでも、できるだけ重く処罰してもらいたいという気持ちは、ずっとありました」と代理人を通じてコメントを出した。(古田寛也、伊藤和也)