西川迅
チンパンジーには、2匹が役割を交代しながら、協力して課題を解決する能力がある――。そんな実験結果を、京都大の松沢哲郎特別教授(比較認知科学)らの研究グループがまとめた。画面に表示される数字を選ぶゲームで、2匹が互いに補完して作業することが確認できたという。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに1日、論文が掲載された。
研究グループは、モニター画面に映し出された1~8の数字に小さい順に手で触れるゲームを、チンパンジーに学習させた。その上で、2匹が協力してこのゲームを進められるかどうか調べた。
実験は2匹のチンパンジーの間を透明な板で仕切って行った。お互いの画面や手の動きは見ることができる。ただし、画面も左右半分ずつに板で仕切り、自分の側に表示された数字しかタッチできないようにした。
その結果、右の個体が画面の「1」に触れるのに続けて、左の個体が「2」「3」に触れるなどして、ゲームをうまくこなせることが分かった。
3組のチンパンジーで、このゲームを各組2千回余り繰り返して検証。全体の正答率は71・8%だった。3組はいずれも母子だったが、松沢さんは、親子でなくても協力しあえるとみており、「チンパンジーは相手の振る舞いを考慮し、息を合わせて行動する高い能力を持っていることが裏付けられた」と話す。(西川迅)
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