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介護と医療の足元で:5(マンスリーコラム)

 最近、80代前半の父と70代後半の母が暮らす埼玉県の実家に、電話アンケートが立て続けにかかってきた。

 一つは9月上旬、自動音声によるアンケートで、「いま総選挙があったら、A候補とB候補のどちらに投票するか」というものだった。解散報道が出る前だ。

 もう一つ、9月中旬にかかってきた電話アンケートは、年金を株式投資に誘うものだった。

 「年金が減って困っていますか」

 「生活に支障がないなら、株で年金を増やすことを考えますか」 自動音声で回答はボタンを押すだけ。警戒感は薄れ、ボタンを押して質問と回答を進めていくと、年金が減って困っていると感じている人に、今ある預貯金を株式投資して補うことを勧誘する。母が「(株で増やそうと)思わない」と回答すると、切れた。

「社会のために働いてきた」

 国の社会保障の予算配分を高齢世代から若い世代にシフトするような政治家の発言が続いてきた。政府は今、「医療の費用対効果」や「医療給付費の抑制」といった議論を進めている。最近は政党の離合集散にばかり注目が集まり、政策が見えにくくなってしまった。

 9月下旬、これから受ける医療や介護に何を望むか、両親に聞いてみた。長男としての、備えや覚悟も必要だからだ。

 「自己負担が増えたら、病気になれないね。がまんできる病気ならいいけど」

 「同じ治療でも、年齢によって保険診療が受けられないといったような線引きをしない方がいいんじゃないかな。治療をしたい人もいるんだから」

 「これからは、病院で『子どもが(費用を)負担してくれないんですか』と聞かれるようになるのかな」

 以上は母の率直な感想だ。新聞を読み、ニュース番組を見ているが、最後に強い言葉でこう付け加えた。

 「私たちは高齢者と言われるけど、一生懸命働いてきた。70代、80代の人たちは、自分のためじゃない、社会のために」

 昭和の高度経済成長期を支えた人たちの胸の内だ。大都市のベッドタウンには、このような人が住宅ローンで建てたマイホームに多く暮らしている。今も税金や介護保険料などを払っていても、厄介者扱いされているような空気感にやるかたない思いがあるようだ。

「苦しまなければいい」

 父の反応は違った。これからは、高齢者の医療を何らかの方法で制限して、若い世代の子育てや教育に多く配分することになると説明すると、「難しいな。答えが出ない」と黙ってしまった。いま医療や介護を利用し、給付が制限されるかもしれない人たちは、答えようがないのかもしれない。

 さらに聞きたいことがあった。…

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