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 今年のノーベル賞の科学3賞は、欧米の研究者9人に贈られる。生物の体内時計の仕組みの解明やアインシュタインが予言した重力波の観測、生体分子の立体構造を見る特殊な顕微鏡の開発は、いずれも新しい研究分野を切り開いた。

医学生理学賞 体内時計の仕組み解明

 医学生理学賞に決まったのは、ブランダイス大のジェフリー・ホール名誉教授とマイケル・ロスバッシュ教授、ロックフェラー大のマイケル・ヤング教授の3氏。睡眠などに関わる約1日周期の体内時計の仕組みを明らかにした。

 昼間に葉が開き、夜には閉じるオジギソウを暗い場所に置くと、一定の時間になるとやはり葉が開閉する。18世紀から知られ、光以外にも生物のリズムをつかさどる何らかの仕組みがあることが推測されてきた。1970年代には、薬物でハエに遺伝子変異を起こすと1日の行動リズムが消失したり乱れたりすることが報告され、行動リズムにかかわる遺伝子の存在が予測された。

 こうした流れを受け、ホール氏らは多くのショウジョウバエの遺伝子変異を調べて、80年代に初めてハエの行動リズムに変化を起こす遺伝子「ピリオド」を見つけた。ピリオドによってつくられるたんぱく質は夜に増え、昼に分解される。生体内で遺伝子のオンとオフを繰り返し、たんぱく質を増減させることで、約24時間の周期でリズムを刻んでいるとわかっていった。

 分子生物学者の福岡伸一・青山学院大教授は「多細胞生物の遺伝子と行動との関係を明らかにしたこの分野のパイオニア」と評価。名古屋大の近藤孝男名誉教授は「まったく実態がわからなかった生物時計の仕組みを解き明かす発端となった」と話す。かつて体内時計は脳の中にしかないと思われていたが、遺伝子が特定されたことで「体中のあらゆる細胞の中に『時計』があることもわかった」と、名古屋市立大の粂和彦教授は指摘する。

 「ピリオド」は人間でも見つかり、生体のリズムの乱れは睡眠障害などにもかかわっていることが知られるようになってきた。産業技術総合研究所の宮崎歴(こよみ)・グループ長によると、時計遺伝子の変異のせいで朝の目覚めが遅れたり、夜に早く眠くなったりする人がいる。時計遺伝子の異常とがんなどとのかかわりも指摘されている。

 乱れた時計を「修正」する研究…

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