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 エース不在の危機を21歳の若者が救った。5日、体操の世界選手権第4日の男子個人総合決勝で白井健三(日体大)が3位に食い込んだ。得意のゆかで全体の1位となる15・733点を出して滑り出すと、他の種目も大きなミスなくまとめ、86・431点をマークした。28歳の内村航平(リンガーハット)が予選で途中棄権するアクシデントに見舞われたが、白井が体操ニッポンの面目を保った。肖若騰(中国)が86・933点で優勝し、2位も中国の林超攀で86・448点だった。

 世界に衝撃を与えた2013年、白井は17歳だった。初出場の世界選手権で種目別ゆかで優勝。代名詞となった、ひねり技を次々と決めて、技に「シライ」の名を残した。

 それから4年。オールラウンダーに初めて挑んで、その一歩をしっかりと踏み出してみせた。

 用意していた戦略通りに、そして練習通りに演技を進めた。得意のゆかと跳馬で試合を組み立てた。最初のゆかのDスコア(難度点)は7・2点と他を圧倒している。「この2種目は、試合をやる前から周りを諦めさせるような練習をしている」。跳馬は自身の名がつく「シライ/キム・ヒフン」(伸身ユルチェンコ3回ひねり)で15・000点をたたき出した。

 残りの4種目ではミスを抑える。苦手のあん馬、つり輪も崩れない。終盤の平行棒、鉄棒も踏ん張った。「点数や順位ではなく、6種目をミスなくそろえられたことにほっとしている」

 3日前の予選で、内村がけがで途中棄権した時は一瞬、心が乱れた。内村の担当コーチやトレーナーが走り回るなか、白井は鉄棒の手放し技で落下。だが先輩のけがを気遣いながら、その後のゆかとあん馬で立て直した。「世界一、練習を通している自信がある。こんなものではぶれない気持ちだった」と振り返った。

 淡々と持てる力は示した。派手な勝ち方ではないが、しぶとい強さと可能性を示す銅メダルだった。(潮智史

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