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 米小説家ソール・ベローは1976年にノーベル文学賞を受賞した時、「私のなかの子どもは喜んでいる。けれど、私の中の大人は懐疑的になっている」と語った。ベローは後に、自己の内に「文学賞にからんだ恥じらいが隠れている」ことに気づいた、と言った。それは「非常に優れた同世紀の何人かの作家がノーベル文学賞を受けていないからだ」と。

 2016年はボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した。この時も、多くの読者の内なる「子ども」は大いに喜んだであろう。だが、もし、ディランが受賞スピーチの一部をSparkNotes(学習参考書)から盗用したことを知ったなら、読者の内なる「大人」は懐疑的になったに違いない。

 今年2017年はそんな論議はいっさい起きないだろう。ノーベル文学賞に決まった日本生まれの英国人作家カズオ・イシグロは、いわば安心できる選択だった。イシグロの40年近い文学活動は文字通りの「優良株」であり、見事で魅力的な作品を世に出してきたのだから。

 抑制と均衡の芸術家であるイシ…

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