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 台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は10日、台北市で開かれた辛亥(しんがい)革命を記念する「双十節」(建国記念日に相当)の式典で演説した。台湾と中国の交流再開から今年で30年となる歴史に触れ、「(この間の)得難い成果と善意の積み重ねを基礎に両岸関係の突破を探るべきだ」と語り、昨年来の冷え込んだ関係の改善を呼びかけた。

 演説では、中国側が受け入れを迫っている、中台が「一つの中国」に属するという原則を共に確認したとされる「92年コンセンサス」については言及しなかった。一方で、蔡氏が昨年の双十節でも語った、「私たちの善意は変わらない。かつての対抗路線にも戻らない。ただし圧力にも屈しない」などとする台湾側の原則を重ねて訴えた。

 中国側で18日から共産党の第19回党大会が始まるのを前に対話の意思をアピールする一方、台湾側の立場も強調し、中国側の出方を見守る慎重な姿勢を示した形だ。

 演説では、国防力強化などのために艦船や航空機の自前建造を進める考えを改めて表明し、「私たちは全力で戦力を強化する。ただし戦いは求めない」などとも語った。

 中国国営の新華社通信によると、中国の台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室の報道官は10日、「(台湾側が)『一つの中国』原則と台湾独立反対を堅持してこそ、中台関係の平和的な発展が可能となる」と語り、「一つの中国」原則を受け入れない蔡氏の演説を批判したという。(台北=西本秀