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 衆院選の序盤情勢で堅調とみられる自民党だが、岡山3区では、政界引退した自民党ベテランの平沼赳夫氏の後継者と、自民党副幹事長が争う分裂選挙となっている。「郵政選挙」と呼ばれる2005年の衆院選から続く、因縁の対決だ。

 「決着をつけようじゃないですか」。衆院選公示日の10日、岡山県津山市で前自民党衆院議員の平沼赳夫氏(78)が支持者にあいさつした。連続当選12回、運輸相や通産相を歴任したベテランは、今回の衆院選を前に引退を表明し、次男の正二郎氏(37)が後継者として立候補した。

 ここで対立したのが、同じ岡山3区から出ている自民党副幹事長の前衆院議員、阿部俊子氏(58)だ。

 正二郎氏と阿部氏はともに自民党に公認を申請。安倍晋三首相も入って対応を協議したが、調整は難航した。自民党は今月6日、前回公認した阿部氏に推薦は出すが、2人とも無所属で競わせ、当選者を追加公認する方針を決めた。無所属のため、比例区で復活当選することはできない。

 発端は、郵政民営化の是非が問われた05年の衆院選だ。民営化に反対した平沼赳夫氏が無所属で立候補。このとき「刺客」として岡山3区に送り込まれたのが元日本看護協会副会長の阿部氏だった。

 両者は計4回の衆院選で戦ったが、いずれも赳夫氏が小選挙区で勝ち、自民公認で出た阿部氏は比例区で復活当選をしてきた。たちあがれ日本などの政党を経て、赳夫氏が15年に自民党に復党したことから今回の分裂選挙につながった。

 赳夫氏は公示日のあいさつで郵政選挙に触れ、「嫌な言葉ですけど、刺客というのがございました。殺しに来たわけであります。4回選挙で戦いましたけれど勝って当選しました。そろそろ皆さま方、決着をつけようじゃないですか」と支持者に呼びかけた。正二郎氏も「父の志を継承し、地元へ恩返しをさせていただきたい」と述べた。

 一方の阿部氏は10日、津山市で出陣式を開いた。あいさつの冒頭、「12年間、自民党で過ごしてきた。この選挙、必ず自民党に帰るために戦わせていただきたい」と声を震わせた。

 4期にわたって岡山3区の支部長として党組織を整えてきた阿部氏。「今回の選挙、自民党推薦という形。比例復活はありません」と述べ、「背水の陣です。自分の立場を守るためでなく、皆さんに恩返しをするためにぜひ勝たせていただきたい」と訴えた。

 自民党の公認をめぐっては、埼玉11区と山梨2区でも前職同士の調整が難航。党は前回公認した前職には推薦を出すが、両者を無所属で競わせ、当選した方を追加公認する方針で臨む。両選挙区とも郵政選挙の「後遺症」が要因だ。

 自民党岡山県連の幹部はこうぼやく。「保守票の分裂はしょうがない。そもそもあの郵政選挙が、今のこの状況を生んだ。あの選挙が間違いだったんだ」

 岡山3区にはこのほか、共産党の尾崎宏子氏(61)、希望の党の内山晃氏(63)が立候補し、4人が争う構図となっている。(松尾俊二、国米あなんだ)

岡山3区の候補者一覧

 尾崎 宏子(おざきひろこ) 61 共新

 内山  晃(うちやまあきら) 63 希元③

 平沼正二郎(ひらぬましょうじろう) 37 無新

 阿部 俊子(あべとしこ) 58 無前④

(届け出順。丸数字は当選回数)