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 70代で突然、骨髄異形成症候群と宣告を受けました。完治するには移植しかない。移植を受けるうえで必要な治療で、発熱や嘔吐など相当な体力を奪われます。あなただったら、その過酷な治療に挑みますか?

 骨髄移植や臍帯血(さいたいけつ)移植など他の人の血液を移植する治療は、白血病や悪性リンパ腫などでは重要な選択肢の一つです。ただ、体への負担が大きく、移植を受ける患者さんの年齢に上限を決めている医療機関が多くあります。

 自分らしく生きていくために、それでも移植を受けたい。74歳の男性が挑んだ、現在進行形の闘いをつづりました。

突然の診断、厳しい治療

 いつもの定期健診のつもりだった。東京都内で会社を営む男性(74)は16年1月、持病で通う大学病院の主治医に「白血球に異常がある」と告げられた。同じ病院の血液内科を紹介された。

 日頃からスポーツジムに通い、妻(70)と手をつないで近所をよく散歩する。毎朝10時には出勤し、親から受け継いだ会社を守ってきた。ピンとこないまま血液内科を受診すると、今度は骨髄検査を提案された。

 3月、「骨髄異形成症候群(MDS)」と診断された。血液をつくる造血幹細胞が正常に働かなくなる病気で、貧血になったり、感染症にかかりやすくなったりする。疲れやすいのも典型的症状だ。疲れは仕事が重なって無理をしたからだとばかり思っていた。

 検査した医師は「治療には他の人の造血幹細胞を移植する方法があるが、体への負担が大きく、この病院では高齢の患者に移植はできない」と説明した。残された選択肢は、抗がん剤「ビダーザ」による治療だった。MDSが急性白血病に進行するのを抑えるが、完治は期待できないと言われた。

 すぐに入院して1週間、毎朝ビダーザの注射を打った。次の3~4週間は体を休ませ、また次の1週間毎日注射を受ける。その繰り返しで8サイクル、半年先までの治療計画が立てられた。

 治療は予想を上回る厳しさだった。体重が落ち、少し動くだけで息が上がった。車を運転する秘書(46)の耳に、後部座席の男性の荒い呼吸が聞こえるほどだった。

 

 こんな体調では社長を続けられない。危機感を募らせた男性は秘書に打ち明けた。「完治も望めず、蛇の生殺しだ。僕は自分の生き方を貫き通したい。移植にかける」。高齢の患者に移植を行っている病院を探した。

 今年2月、東京都健康長寿医療センター(板橋区)を紹介された。すぐに、血液内科部長の宮腰(みやこし)重三郎(しげさぶろう)さん(58)の予約を取り、一人で診察を受けた。診察を終えて戻ると、待っていた秘書に言った。「家族にも説明するそうだから、午後一緒にもう一度来る。でも、ここに来るのはそれが最後だ」。移植の先に、希望の光が見えなかった。

 

妻の「支えます」に心強さ

 東京都内で会社を営む男性(74)は2016年3月、骨髄異形成症候群と診断された。抗がん剤治療を受けたが、想像以上の厳しさで体力を奪われ、造血幹細胞移植を望む気持ちが高まった。

 今年2月、妻(70)と一緒に東京都健康長寿医療センター(板橋区)で血液内科部長の宮腰重三郎さん(58)と移植コーディネーターの赤川順子さん(48)から説明を聞いた。移植には、生まれた赤ちゃんのへその緒(臍帯(さいたい))から採った血液を使う。移植が決まってから採取する骨髄と違い、すでに凍結保存された臍帯血を使うため、早く移植ができる。

 「ただ70歳以上の移植は先例が少なく、60代よりも生存率は10~20%下がる。臨床研究のようなものと理解してください」。宮腰さんは厳しい現実を率直に話した。

 それでも妻の目には、笑顔を絶…

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