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(20日、フィギュアGPシリーズ・ロシア杯 男子SP)

 見た目には大きな失敗があったように見えたが、羽生はにこやかだった。演技直後、リンク上に投げられた花を拾う子どものスケーターから「ハロー、ハロー」と声をかけられ、「ありがとう」と応じた。

 冒頭の4回転ループジャンプは回転不足。4回転トーループはきれいだったのに、連続ジャンプとして直後に跳んだ3回転トーループで転んだ。

 「ループは、形、軸は問題なかった」と羽生は言う。転倒した場面については「(3回転で)手を上げるスピードが足りないかなという、一瞬の迷いがあった」と冷静に分析していた。

 2日前や前日の練習では、転んだり1回転になったりするジャンプが目立った。その度に動きを分析し、修正。氷の状態と自分のジャンプの感覚のズレに苦しむ選手がいる中、「来て3日目で跳びやすくなった」と言い切る。

 羽生はジャンプ後、踏み切った場所を確認する。国際審判の経験が豊富で、幼少期の羽生を合宿などで見てきた杉田秀男さんによると、「トレース(靴の刃で氷にできる滑った跡)を見ている」。同じ跳び方をしても、氷の硬さが違うと跡は違ってくる。それを見て、成功のために踏み切り方を微修正している。

 羽生は修正能力が高い。「悔しさはありつつ、体力も残っている。悪くない失敗」。今後さらにジャンプの精度を高める手応えをつかんでいた。(後藤太輔