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 「再稼働に歯止めをかけるために、最前線で戦う。子どもたちのために、原発に依存しない未来にする」。4区で当選した無所属前職の菊田真紀子氏は、選挙戦で「原発ノー」を強く打ち出した。

 民進出身の菊田氏。支持母体には、原発に否定的ではない連合新潟がある。そのため民進は原発に対するスタンスで、社民や共産とは一定程度の距離感を保とうとしてきた。

 だが、今回無所属を選んだ菊田氏は覚悟を決めていた。「退路を断つにあたり、あつれきが出たり、利害調整ができなかったりするくらいなら、政治はやらない方がいい。原発問題は、政治家が逃げてはいけない最も重要な課題だ」。演説会には米山隆一知事も駆けつけ、「菊田氏は歩調を合わせてくれる。県でやることには、国のサポートが必要だ」と激励した。

 一方、東京電力柏崎刈羽原発が立地する2区では、当選した無所属前職の鷲尾英一郎氏も、比例復活した自民前職の細田健一氏も、再稼働問題の言及は少なかった。

 鷲尾氏の選挙事務所には、電力総連会長や日本原子力研究開発機構の労組委員長が贈った「必勝」の為書きがあった。鷲尾氏の原発へのスタンスは「2030年代にゼロ」だが、再稼働そのものは否定していない。選挙戦では「思いは人によって大きく違う。米山知事と連携しながら意見をすりあわせていく」と訴えた。

 対する細田氏は、昨年7月の参院選では、自民候補の応援演説で再稼働の必要性を強調していたが、自身の選挙ではほとんど触れなかった。報道陣に対しても「原子力規制委員会の審査が終わっておらず、コメントするのは適切ではない。政治は介入すべきではない」と繰り返した。

 発言に大差はないのに、選挙では1万6千票の差がついた。また、原発ノーを明確にした共産候補は、前回より票を減らした。要因の一つに、候補者の擁立を今回は見送った社民の動きがあったとみられる。

 朝日新聞が実施した出口調査では、社民支持層の多くが鷲尾氏に投票したと答えた。地元関係者は「党是に近いのは共産だが、原発推進の自民を倒すことが今回の最優先課題だった」。自民県連の柄沢正三幹事長は「社民票が、もっと共産に流れると思っていた」と悔しさをにじませた。

 5区も、候補者の原発への対応が注目された。選挙区内の多くが柏崎刈羽の30キロ圏内にある上、再稼働に慎重とみられていた前知事の泉田裕彦氏が、原発推進の自民から出たためだ。泉田氏は、原発事故時の避難計画の実効性などを挙げて、「原子力政策の欠陥をただす」と訴えた。

 野党系の大平悦子氏は「原発、再稼働ノー」を訴え続け、泉田氏を「変節」と批判したが、及ばなかった。長岡市内で大平氏の演説を遠巻きに聞いていた会社経営の男性(62)は、昨年の知事選では米山知事に投票した。「米山さんを当選させたことで、原発や再稼働についての県民の意思を示せたという気持ちがある。当選後も知事の姿勢はぶれていない」

 大平氏の陣営幹部は「泉田氏が再稼働に消極的だという印象が有権者に残っていた。泉田氏に票を投じても、無理に再稼働を進める姿勢にはならないという安心感があった気がする」と分析した。