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 戦前にタイで生まれ、太平洋戦争後のアジア各地の激動を記録してきたバンコク在住の写真家・瀬戸正夫さん(86)の作品展が24日、京都市左京区北白川伊織町のギャラリー「ロンドクレアント」で始まった。

 瀬戸さんは1931年、タイ南部のプーケットで生まれた。父は日本人で母はタイ人。8歳の時、「盤谷(バンコク)日本尋常小学校(後に国民学校)」に通学するためバンコクに移り、終戦を迎える。戦前の現地だけでなく、戦後すぐの日本人拘留キャンプの生活も知る、今では数少ない時代の証言者の一人だ。

 戦後は自らタイにとどまると決め、拘留生活後は飲食店員や商社員などさまざまな職を経験した。その一方、17歳でカメラを手にしてからは、独学で撮影や現像の技術を学び、64年からフリー写真家として活動を始めた。

 67年からは朝日新聞バンコク支局(現アジア総局)の助手兼写真記者として、ベトナム戦争やカンボジア内戦を逃れた難民、ポル・ポト派の拠点、ミャンマーの少数民族武装勢力、繰り返されたクーデターと経済発展で移り変わったタイ社会など、東南アジアのニュースの最前線で人々を写真に収めてきた。報道写真家としての現役生活は半世紀にも及ぶ。

 今回の写真展は、瀬戸さんが撮影した報道写真や風景、人物など計36点を展示。初日に行われたトークライブでは、訪れた約50人を前に、自らの生い立ちや、体験に基づく戦争末期から戦後間もない頃のタイの混乱の様子などを説明した。「カメラを手にしてあっという間に70年。ただ、写真を一枚一枚撮影した時の情景は、時代の空気と一緒に覚えている」と振り返った。

 写真展は29日まで。午前11時から午後7時(最終日は午後5時)、入場無料。問い合わせはロンドクレアント(075・286・7696、http://rondokreanto.com/別ウインドウで開きます)へ。(仙波理)