天皇、皇后両陛下は27日、7月の九州北部豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市と大分県日田市をお見舞いに訪れた。車から被害状況を視察したほか、被災者らと懇談した。

 朝倉市役所杷木支所では、同市と東峰村で被災した6人と対面。同市の高木地区に住んでいた渕上洋さん(65)は外出中に自宅や倉庫が土砂や流木にのまれ、自宅にいた妻(当時63)と娘(同26)、孫(同1)を亡くした。

 里帰り中の娘のおなかには、あと15日で出産予定の男の赤ちゃんがいた。娘は渕上さんの孫を抱くように、妻はその娘をかばうように亡くなっていたと聞いた天皇陛下は、「本当に残念なことでね」と気遣った。母親を見送るまで頑張ると伝えると、皇后さまは「お体に気をつけて。お母様のために」と励ました。

 陛下は高齢者への配慮や復興への対応に関心を示し、森田俊介市長に「高齢の方だと色々な経験なり境遇なりが違いますから、十分に対応していくのは細かな配慮が必要でしょう」「地域の農業は氾濫(はんらん)などがあると、再生は大変でしょう」などと尋ねた。最後に被災者に「本当に大変だと思いますが、それぞれ今後良い方向に向かわれるよう、尽力されるように切に願っております」と伝えた。

 その後大分県に移動し、日田市役所で市内の被災者5人と懇談。消防団員として巡回中だった夫の岳人さん(同43)を亡くした山本佳代さん(39)に中学生2人と小学生の計3人の子どもがいると聞き、皇后さまは「健やかにね」といたわった。伊藤元裕さん(65)は自宅兼店舗など3棟が全壊。約35年続けた移動販売の車両も水につかった。両陛下を前に「もしもこの災害が夢であったならどんなに幸せであるかと毎日考えています。けれども、こうしてお会いできましたことはまさに夢のようでございます」と伝え、「前向きにならなければ」と気持ちを切り替えた。

 農事組合法人代表理事の原田文利さん(63)が、仲間と住民とで被災した畑にひまわり2万本を植えたことに、皇后さまは「(復興の)シンボルのようにね」、陛下は「地域の人々が喜ばれるでしょうね」と話した。原田さんは対面後、「励みになったと思う。やって良かった」と笑顔を見せた。両陛下は、災害対応にあたった警察や消防などの関係者らとも対面し、ねぎらった。(多田晃子)