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 他人のiPS細胞を使って、失明の恐れがある網膜の病気を治療する臨床研究について、理化学研究所などのチームは、5人の手術が終わったと、1日発表した。それぞれ1年間の経過をみて安全性を評価する。手術前にしていた治療の回数を減らせるかや、視力の変化も調べる。

 手術をした神戸市立医療センター中央市民病院によると、目の障害や死亡など重い有害事象は今のところ起きていないという。研究結果への影響を避けるため、経過観察がまとまった時点で詳しい結果は公表するという。手術が計画の数に達したため患者の募集は終える。

 この研究は、理研の高橋政代プロジェクトリーダーらが中心となって中央市民病院と大阪大で手術を実施。iPS細胞は京都大iPS細胞研究所が備蓄する「iPS細胞ストック」を使った。1例目の手術は今年3月で、ストックの細胞を網膜の細胞に変化させ、目の難病「加齢黄斑変性」の患者に移植。他人のiPS細胞を臨床で利用したという報告は世界で初めてだった。

 理研チームは2014年、患者本人のiPS細胞を使った移植手術を実施したが、今回は他人のiPS細胞を使ったことで、準備にかかる費用や時間を大幅に減らせる利点がある。研究がうまくいけば、多くの人が受けられる医療に近づくと期待されている。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(合田禄)