拡大する写真・図版 客のほぼ全員が注文する看板商品「10分モンブラン」=京都市中京区、佐藤慈子撮影

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 賞味期限10分――。はかないモンブランが京都で売れている。食感、味ともに、10分の間にまったく別物に変わってしまうと話題で、週末には店の前に行列ができるほど。着想の背景を探ると、「脇役の素材を主役にしたい」という職人の優しさが出発点だった。

時紀行

 週末、京都市中京区の三条会商店街の一角にある「Sweets Cafe KYOTO KEIZO」に行列ができる。お目当ては、「賞味期限」がわずか「10分」のモンブランだ。

 店主の西田敬三さん(62)が、皿の上に生クリームと薄いスポンジケーキを重ねてひと呼吸。茶色に焼けた直径5センチほどのメレンゲを密閉袋から出し、その上にのせた瞬間から、賞味期限のカウントダウンが始まる。フランス語で「白い山」を意味する高峰モンブランの形にマロンクリームで覆い、栗の甘露煮をのせて粉砂糖で雪化粧する。店員が小走りで客のもとへ運び、「10分で風味が変わります」と説明するまで1分。残り9分だ。

 短命の理由は核になるメレンゲの食感だ。低温で3時間焼いたメレンゲは、きめ細かくサクサク。しかし空気中やクリームの水分を吸いやすく、「特に雨の日はすぐにベタベタになる」と西田さん。

 運ばれてきた「10分モンブラン」をナイフで両断すると、メレンゲが「サクッ」と音をたて、まず驚く。ほおばると軽く甘みもさわやかで、栗の香りが鼻に抜ける。5分ほど経つとメレンゲが粘り、10分が近づくほどしっとり重く、甘みも強く感じられる。ひとくち目とは完全に別物だ。

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