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 広島市中区の広島中央署内から現金8572万円が盗まれていることが発覚してから、8日で半年がたつ。広島県警は内部犯行とみて、延べ数百人の警察関係者に事情を聴いてきたが、犯人に結びつく有力な証拠は見つかっていない。捜査の長期化で市民からは苦情や批判の声も相次ぐ。

 事件は5月8日夜に発覚。署の1階の会計課の課員が金庫の鍵を保管している課長の引き出しの錠が壊されているのを発見し、金庫内を調べたところ現金が無くなっていた。県警は、保管状態を詳しく知る人は限られ、外部からの明白な侵入跡が認められないとして、内部犯行とにらむ。

 しかし、捜査関係者によると、現金があることが最後に確認されたのは今年3月中旬。発覚まで約2カ月間あり、犯行時期の特定も困難という。この間、会計課の入り口には防犯カメラもなく、誰がいつ入退室したかの記録はない。事情聴取で話にうそがないか調べるなどして県警が関心を持った人物は複数いるものの有力な証拠はないという。

 また、多額の現金の動きがないか、県警は捜査対象者の金融機関口座について、これまで数万件に上る出入金記録を確かめているが、これも不審な事案は見つかっていないという。

 捜査が長期化していることについて、県警のある捜査関係者は「これだけ世間を騒がせた事件。慎重にならざるを得ない」と語る。広島地検も、必要な証拠を十分そろえるように県警に求めている。

 県警には解決しないことへの苦情の電話が相次ぐ。署や県警本部を訪れて直接伝える人もいる。

 市内の70代男性は複数回訪ねてなぜ解決できないのか聞いたが、対応した署員らには「捜査中です」「状況を知らされていません」と説明されたといい、「まったくひとごとのようだ」と憤る。広島市中心部の商店街を歩いていた60代の主婦は「組織で内部の人間をかばっているんじゃないか」と想像するという。署の管内の公園で2歳の息子を遊ばせていた40代の主婦は「このまま市民が忘れ去るのを待っているのではないかと疑ってしまいますよ」と顔をしかめた。(小林圭、宮川純一)