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 午後5時まで、打球音が響き続けた。廿日市市の大野練習場。1軍秋季練習のメンバーから漏れた選手たちが、悲壮感さえも漂わせながら練習に励んでいた。この日は1軍が午前10時から大野練習場で練習をしていた。その間、2軍選手は由宇球場で練習。午後1時前に1軍が打ち上げると、その約1時間後に、2軍は大野練習場に帰ってきた。そこからまた、打撃練習が始まった。

 秋季キャンプの「2軍」は、シーズン中とは意味合いが違う。メンバーは野手は8人だけで、年齢も30歳前後の中堅、ベテランクラスが多い。天谷宗一郎、小窪哲也、岩本貴裕、下水流昂など、実力者が顔をそろえている。1軍秋季キャンプには若手選手や実績のない選手も連れて行かれ、アピールする機会を与えられる。漏れた選手の心情は穏やかではあるまい。

 水本勝己2軍監督が言う。「彼らの現時点での立場。でも一番必要なところとも言える。力が必要になるときは来るわけだからね。危機感と練習量はすごいよ」。聞けば大野練習場に戻ってからの時間は強制ではないという。人数が少ない分、コーチスタッフもマンツーマンでついてボールを投げることが出来る。どこか張り詰めた雰囲気がある。今季出場9試合に終わった下水流は「やるしかないから」と大汗を噴き、なおもネット際で素振りを始めた。

 尻に火が付く男たちを背に水本監督は「大体30歳前後。ここでもうひとつ成長出来るか。踏ん張れるか。出来たら突き抜ける。不思議なもんで、大体の選手がそうなんよ」と続けた。高くジャンプするためにはかがむ動作が必要だ。来春、来季。彼らのハイジャンプを見たい。それはチームの力にもなる。(日刊スポーツ広島担当・池本泰尚)