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 京都、大阪、兵庫で起きた青酸連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた筧(かけひ)千佐子被告(70)=京都府向日市=の裁判員裁判の判決公判が7日、京都地裁であった。中川綾子裁判長は起訴された4事件についていずれも有罪と認定し、検察側の求刑通り、死刑を言い渡した。弁護側は判決を不服として控訴した。

 資力ある高齢男性との結婚・交際と死別を繰り返した被告の生活が事件で注目されたが、裁判では被告と男性たちの死を結びつける直接証拠が乏しく、弁護側は無罪を主張していた。

 被告は、夫や交際相手の男性に対する殺人3件と強盗殺人未遂1件の罪で起訴された。判決によると、2007年12月~13年12月、遺産目的や預かった金の返済を免れるため、夫の勇夫さん(当時75)や、交際相手の本田正徳さん(同71)、末広利明さん(同79)、日置稔さん(同75)に青酸化合物を飲ませて殺害、または殺害しようとした。

 判決はまず、被告が処分したプランターから青酸が入った袋が見つかったことから、被告が一般には入手困難な青酸を持っていたと認定した。その上で、被告が被害者と夫婦や交際相手という間柄のため、疑いを持たれず青酸を服用させることが可能だったと指摘。被告が死亡前後に遺産の取得に動いたといった経緯も踏まえ、「犯人は被告しか考えられない」と述べ、遺産や金銭的利益を得る目的で被害者に青酸を飲ませたと判断した。

 弁護側は、被告は認知症が進み、責任能力も訴訟能力もないとして無罪を訴えていた。この点について判決は、認知症は軽症で、13年12月時点でメールの文面に問題がなかったことからも事件時は認知症は発症していなかったとして、完全責任能力を認めた。

 量刑について判決は「金銭欲のために人命を軽視した非常に悪質な犯行で、結果は重大。極刑を選択せざるを得ない」とした。

 被告は公判で「私が殺(あや)めた」と罪を認めたものの、質問者が代わると「殺したイメージがわかない」などと発言は二転三転した。

 公判はこの日で38回目。6月26日の初公判から135日を費やし、裁判員制度が始まってから2番目に長い裁判となった。(安倍龍太郎)

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 筧千佐子被告の裁判員裁判の判決公判の傍聴券を求める人たちで、京都地裁には7日朝から長い列ができた。一般傍聴席51席に対し、受け付けが締め切られた午前9時半までに566人が集まり抽選となった。

 列についた京都市の主婦中村孝子さん(57)は「被告が見せる表情の細かな変化を見たい」と話した。