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 「狙いうち」「サウスポー」「宇宙戦艦ヤマト」――。高校野球が始まると、テレビやラジオから全国に流れるあの歌、この歌。聴けば夏が来たと実感するのは、高校野球ならではの歌だから。でも、そんな高校野球の応援に変革を、と訴えるのは、元プロ野球千葉ロッテマリーンズ応援団長で作曲家のジントシオさん(37)だ。

 ――高校野球の応援に変革をって、どういうことですか

 「アゲアゲホイホイ」って知ってます?

 ――今夏の甲子園で多くの高校が採り入れた、メガホンを振りながら「アゲアゲホイホイ、もっともっと~」のかけ声で応援する、アレですね

 兵庫代表が初めて甲子園で披露したと言われてます。あっという間に広まりました。高校野球というと、汗と涙と根性のイメージですが「アゲアゲ――」のフェス感、パリピ感……、って分かります?

 ――分かりません

 みんなで自由に楽しんでる感じ。やりすぎはいけませんが、素晴らしいと思います。変革を実感します。

 ――甲子園では近年、ロッテの応援歌も多用されています

 僕がロッテの応援団時代に関わった曲も少なくない。ロッテの応援なんて知らないという方でも曲を聴けば、「あれはロッテだったの?」と思うでしょう。高校野球と言えば、40年も前の歌謡曲やアニソンが定番でしたから、一つの変革と言えるのかもしれません。うれしいですね。でも寂しくもあります。

 ――寂しいとは

 オリジナルで勝負してほしい。ロッテばかりじゃ寂しいじゃないですか。

 ――オリジナルは難しい

 この夏、甲子園初出場の早稲田佐賀の応援歌を作りました。僕のロッテ応援団時代の曲の楽譜が欲しいと言われたので、じゃあ、みんなで新曲を作ろう、と佐賀へ飛んでいきました。放課後、生徒らと歌詞を考えた。甲子園でも盛り上がりました。

 高校野球の主役は選手だけじゃない。吹奏楽部や応援団の生徒も、みんなが主役です。天理や智弁和歌山はオリジナルが甲子園の定番になってるけど、そこまででなくていい。みんなで作ってみんなで熱くなる。それがいいんです。

 ――来年は夏の甲子園100回大会です

 「アゲアゲ――」みたいなダンス風味も近年、流行してます。アルプススタンドがダンスフロアになったら、まさに「ダンス甲子園」。いろんなスポーツや音楽からヒントを得て、オリジナルを打ち出してほしい。

 レプリカ・ユニホームを着たり、タオルを使ったり、メガホンを使わず声を選手に届けたりといった応援は、ロッテが元祖みたいに言われますが、サッカーから採り入れたのも少なくない。変革はまねしてまねされて起きるものです。100回大会は、応援に変革が起きた年として記憶されたらいいですね。

     ◇

 ジントシオ 1980年、東京都出身。高校時代からロッテ応援団に参加し、プロ野球の応援に変革をもたらす。2010~15年は球団の応援団長。退任後は作曲家として活動。プロバスケットボール千葉ジェッツや、JリーグSC相模原などの応援歌を手がけた。東京パラリンピックに向けて作った曲が、東京都のコンテストで入賞作に選ばれた。

「応援は楽しくなきゃ」

 もう15年も前になるだろうか。千葉マリン(当時)の右翼席で初めてジンさんを見た。プレスリー風の衣装を着て、トランペット片手にオーバーなアクションで応援を指揮していた。負け試合だったが、その一挙一動で観客を楽しませていた。「やっぱり応援は楽しくなきゃ」と言う。それ、正解! 耐えて勝ち、負けて泣くんじゃなくて、勝っても負けても笑顔が広がる応援で、100回の大会を最高の夏に盛り上げてほしい。(秋山惣一郎)