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 インドの首都ニューデリーで、大気汚染が深刻化している。環境基準をはるかに超える汚染により、今月に入って休校が相次ぎ、空港の滑走路も一時閉鎖。市民らは健康被害を心配しており、子どもたちによるデモまで起きている。

 「私が呼吸する権利を」と書かれたマスクをつけた子どもたち数百人が15日、市内をデモ行進した。デモは国連の現地事務所や民間企業などが学校に実施を呼びかけた。参加したクシャ・シャルマさん(13)は「大気汚染のせいで人が亡くなっている。いい加減に気づく時だ」と訴えるプラカードを掲げた。

 近年、汚染は進行し続けている。昨年発表された世界保健機関(WHO)の調査によると、ニューデリーの微小粒子状物質PM2・5の年平均濃度は、北京の約1・4倍だった。在印米大使館が公表している数値では、今月に入ってWHOの環境基準(日平均)の40倍の1立方メートルあたり最大1千マイクログラムを記録した地点もある。

 秋から冬にかけては風がやみ、野焼きの煙や車の排ガスなどが滞留することで汚染が深刻化する。大気は白くかすみ、交通事故も多発。「呼吸器への影響は1日50本のたばこを吸うのと同じ」と指摘する専門家もおり、地元テレビは「殺人大気」などと報じている。

 対策をめぐって、混乱も起きている。当局は一時、乗用車の通行規制の実施を発表。この際、女性の運転する乗用車は対象外とする予定だった。車の代わりに女性がバスなどの公共交通機関を使えば、犯罪に巻き込まれる危険性があるからだ。しかし、国家環境裁判所が「例外は認めない」との判断を下した。このため、女性の安全を重く見て、通行規制そのものが中止に追い込まれた。(ニューデリー=奈良部健)

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