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 東日本大震災の原発事故で影響を受けた子どもの心のケアを続ける福島県内の小児科医は、背景を探っていくうち「福島だけの問題ではない」と気づいた。子どもは家や学校、遊び場など居場所を失った。その喪失感を埋めようと地域で支えてきた。だが、問題の芽は震災前から、全国にあったと訴える。

 小児科医は同県郡山市内で開業する菊池信太郎さん(47)。渋谷区で25、26の両日にある日本乳幼児精神保健学会の大会で、報告と問題提起をする。

 菊池さんは原発事故を受け、地元でケア体制を立ち上げた。安心できる環境を整えようと、絵本の読み聞かせや、親や教師の講習会などを続けた。外で遊べない子どものため、大型の屋内遊び場を開設した。今も年間約30万人が使う。

 多くの子どもと向き合って気づいたのは「土台」の大切さだ。心的外傷後ストレス障害(PTSD)はすぐに発症するとは限らない。6年過ぎた最近になって症状がでた子どももいる。原因を探る中で、親子の「土台」が不安定なケースが多いと気づいた。

 「遊びを通じて親子関係が育まれ、体力もつく。だが、遊び場や遊ぶ機会が失われてきた。スキンシップが減り、親子関係が不安定になってしまう。全国どこも同じで、福島で顕在化しただけだ」

 震災後に福島の子どもの肥満が進んだとする調査があった。「だが、震災前から東北・北海道などでは肥満が進んでいた。それがやや悪化した」。これも子どもをめぐる課題が浮き彫りになった例という。

 この気づきを報告する学会の大会は、代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターである。登壇は2日目で、東北や熊本地震の被災地で活動するケア専門家や保育園長らもまじえて意見交換する。

 大会の全体テーマは「ちいさな瞳の輝く社会」。海外の専門家や作家柳田邦男さんらを招き、子の虐待やひきこもり、心身症の解決の糸口なども探る。詳細は大会のウェブサイト(fourwinds-tokyo.com)で。

 当日参加可で、予約制の一時保育もある。事前の参加申し込みは、名前と連絡先を書いて、ファクス(045・532・6908)かメール(coccoro.kids@gmail.com)で事務局まで。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(山浦正敬)