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 戸籍がない生活には、どんな不便があるのか――。携帯電話や銀行口座が持てず、就職や結婚も難しい。こうした人たちを救済するため、法務省が組織の垣根を越えた対策に乗り出した。支援団体は、どれだけ無戸籍者に寄り添えるかが問題解決の鍵を握ると訴える。

 「この世に存在していないのと同じだった」。今年2月まで無戸籍だった埼玉県の男性(39)は、これまでの生活を嘆いた。

 男性の実母は、現在の夫との間にできた男性を生んだ際、出生届を出さなかった。前夫との離婚が成立しておらず、民法772条の「婚姻中に妊娠した子は夫との子」という規定の適用を避けるためだった。

 男性はそれから30年以上、無戸籍の生活を強いられてきた。初めて戸籍がないことを知ったのは高校時代、バイクの免許を取ろうと、市役所に住民票を取りに行った時だった。窓口で「住民登録されていません」と言われた。父の名前を告げたところ、戸籍に自分の名前が入っていなかった。「なんでだろう」。母は「すぐ手続きできるから」。当時の衝撃を、今も鮮明に覚えている。

 その後、何度も市役所や法務局、家裁を訪ねたが、担当者からは「書類が足りない」「担当が替わった」と言われ続けたという。手続きは進まず、「どこに相談しても、結局たらい回しにされた」と振り返る。

 高校を中退後、職を探したが、身分を証明するものがなく、不採用が続いた。自営業の大工として働いたが、携帯電話は契約できず、パスポートを取れず、銀行口座も開けなかった。選挙の投票にも行けず、同居していた恋人との結婚も、かなわなかった。

 転機は3年ほど前だ。無戸籍者…

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