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 昨日のライバルは今日の友――。

 競泳の日本代表23選手が27日、スペインでの高地トレーニングに向け、羽田空港を出発した。金メダルがゼロに終わった夏の世界選手権(ブダペスト)を受け、例年所属チームごとに行う冬場の泳ぎ込みを代表チームで実施。3年後の東京五輪に向け、所属の垣根を越えて意識を高める狙いだ。

 「なかなかライバルが近くで練習する機会もないんで、タイムを聞きながら頑張ろうと思います」

 2016年リオデジャネイロ五輪男子400メートル個人メドレー銅メダルの瀬戸大也(ANA)は金メダルの萩野公介(ブリヂストン)と一緒に練習することについて問われると、こう笑った。2人が一緒に高地トレーニングをするのは、リオ五輪以降では初めてだ。

 標高約2300メートルのスペイン・シエラネバダで1カ月間行われる今回の合宿は、一部の代表選手を除き、23人の選手と6人のコーチが参加。五輪や世界選手権といった大会前には代表チームで活動するが、大会のない冬場の泳ぎ込みを代表チームでするのは異例だ。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは「冬場の泳ぎ込みは厳しいし、モチベーションも異なる。選手たちの意識を共有したい」と狙いを語る。

 競泳では大学などの大所帯を除き、所属チームでの練習はコーチと選手の「マンツーマン」になりがちだ。選手によっては、逃げ場のない関係が苦になることもある。04年アテネ、08年北京と2大会連続で五輪金メダルを獲得した北島康介さんと平井コーチの関係は「二人三脚」に見えて、そうではなかったという。「(当時日本代表監督だった)上野広治さんが北島にアドバイスをしたり、逆に僕がほかの選手を指導したり、みんなで強くなった」

 今回の合宿では練習場に併設された食堂で3食をともにし、陸上のトレーニングも一緒にする。仲の良い今井月(愛知・豊川高)とともに搭乗口に向かった東京・淑徳巣鴨高2年の池江璃花子(ルネサンス亀戸)は「同じレベルで泳ぐ選手がたくさんいるので刺激になる。高地は苦手なイメージがあるので、克服したい」。平井ヘッドコーチは「コミュニケーションをとる時間はたくさんある。全員とじっくり話をしたい」と話す。(照屋健)