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 ミャンマーを訪れているローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は28日、首都ネピドーでアウンサンスーチー国家顧問と会談した。会談後のスピーチで、スーチー氏は自らイスラム教徒ロヒンギャの問題に触れ、法王に理解を求めた。ロヒンギャ問題に強い懸念を示してきた法王は「ミャンマーの未来には、それぞれの民族への尊厳に基づく平和が必要だ」と訴え、融和を呼びかけた。

 法王とスーチー氏は同日午後、大統領公邸で会談。会談はメディアに公開されず、内容も発表されなかった。国家顧問省幹部は、「スーチー氏がメディアが会談内容を報じるのに後ろ向きだった」と説明する。

 その後、各国の駐ミャンマー大使らに向けたスピーチで、スーチー氏はロヒンギャ問題について「世界で最も注目が集まっている問題」と認めた上で「あなたが我々に共感し、勇気づけてくれることが大切だ」と法王に求めた。一方、法王はロヒンギャ問題には直接言及しなかった。ミャンマー側に配慮したとみられる。

 ミャンマー西部ラカイン州では、ロヒンギャとみられる武装勢力に対して治安部隊による掃討作戦が続く。この作戦には、国連安全保障理事会が過剰な軍事力行使をやめるよう求める議長声明を採択。米国が「民族浄化だ」と断定するなど批判が続いている。

 一方、警察や軍を統括する内務相、国防相は国軍最高司令官が指名すると憲法で定められており、国家顧問のスーチー氏に治安部隊を動かす権限はない。ここにきて国際社会の批判の矛先は国軍に向き始めているが、「民主化の旗手のスーチー氏は何をしているのか」という声も根強い。

 ミャンマー国民の多くは、政府が「移民」とみなすロヒンギャに反感を持ち、同情の声はほとんど聞かれない。スーチー氏も慎重な発言を繰り返してきた。法王の訪問を前に、政府は「国民の反発を生む」として、滞在中にロヒンギャ問題に触れないようバチカン側に要望していた。

 スーチー氏は法王がミャンマーを去る30日、中国共産党が開く会合に出席するため北京を訪れる。中国はロヒンギャ問題でミャンマーを擁護している。ミャンマー国家顧問省の幹部は取材に「法王の訪問も大事だが、現実的に我々を支えてくれる中国との関係は絶対に軽視できない」と語った。(ネピドー=染田屋竜太)

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