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 10月22日に世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者になった村田諒太(31=帝拳)が28日、東京都内の所属ジムで初防衛戦に向けて始動した。王者として臨む試合は来年4月ごろに国内で開かれる見込みだ。

 村田はすでに今月上旬から筋力トレーニングを再開し、体は引き締まっていた。念願のベルトを巻き、心理面で大きな変化があったという。「今までは世界チャンピオンというものに対してコンプレックスがあった」と明かし、それが取り払われたことで「(世界王者になった)他人に対して祝福しやすい気質に変わっている。改めて、人間が小さいなと思いましたね」と自虐的に笑った。

 2012年ロンドン五輪金メダリストだが、プロでタイトルはまだとっていないころ。ボクシングに詳しくない人から「チャンピオン」と呼ばれ、複雑な思いを抱いたこともある。過去にミドル級の世界王者になった日本選手は竹原慎二だけ。軽量級と比べれば難度は高い。それでも、ずっと世界王者ではない自分に焦りがあった。

 王者の誇りを手に入れて、ボクシングがどう変わるのか。その質問に、村田はプラスとマイナスの両面を挙げた。「ハングリー精神がなくなってしまうのではないか」というのが負の要素。一方で「より自由に挑戦していける。もっといいボクシングができる」とも考えている。大きな荷物を下ろしたような、吹っ切れた表情が印象的だった。

 この階級には主要4団体のうち3団体のベルトを独占するゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が君臨。そのゴロフキンと9月に引き分けたのがサウル・アルバレス(メキシコ)で、2人は来年5月の再戦がうわさされる。「それが一番気になる。(勝者と)試合をすればおもしろいんじゃないか、という存在にならないといけない」

 初防衛戦をクリアすれば、王者として本場の米国に乗り込むのが既定路線だ。ゴロフキンやアルバレスと戦うために「まだ証明しないといけないことは多い」。勝ちながら世界的知名度を上げ、近い将来のビッグマッチ実現をめざす。(伊藤雅哉