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 耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道がふさがっている「外耳道閉鎖症」の患者らが使える補聴器が、発売された。耳の軟骨で振動させ、内耳へと音を伝える方法で、補聴器大手のリオン(東京)が、奈良県立医科大学と共同研究し、開発した。小型で目立たず、手術も必要ないという。

 発売された製品は「軟骨伝導補聴器」。通常は耳の穴に補聴器のイヤホンを入れて、低下した聴力を補うが、この製品では、イヤホンの代わりに「振動子(しんどうし)」と呼ばれる部品を、耳の穴近くの軟骨部に装着。増幅した音を軟骨部に振動で伝えることで、聴力を補う。

 リオンによると、先天的に耳が小さかったり、外耳道がふさがっていたりする人は、片側性は1万人の出生に1人、両側性は10万人の出生に1人の割合である。全国では毎年片側性が約100人、両側性が約10人出生する計算になるという。

 これまでは、ヘッドバンド式の補聴器や、埋め込み型の補聴器を使うのが一般的だった。しかし、ヘッドバンド式は外見上、目立つうえ、耳の後ろなどの頭部の硬い骨の部分に振動子を圧着させる必要があるため、痛みを訴える人も少なくなかったという。また、埋め込み型は手術が必要だった。

 開発者の奈良県立医科大学の細井裕司学長(耳鼻咽喉(いんこう)科学)らによる臨床研究では、この補聴器を幼児から高齢者の男女42人に使ったところ、すべての人に補聴の効果が確認され、うち40人が希望してこの補聴器を使い続けているという。細井学長は「従来の補聴器では痛みがあってつらい、という声もあった。軟骨伝導補聴器は、そうした患者さんにとって福音になる」と話す。

 公的医療保険はきかず、片耳30万円、両耳51万円(希望小売価格)。検査や補聴器の調整に対応可能な全国9カ所の医療機関を受診し、適応と判断された後、購入が可能だ。9カ所の医療機関や、製品の情報はリオンのサイト(http://www.rion.co.jp/news/2017/11/news-171113.html別ウインドウで開きます)に掲載されている。

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(武田耕太)