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 出版取り次ぎ大手の日本出版販売(日販)とトーハンは30日、2017年の年間ベストセラー(16年11月26日~今年11月25日の実売数の集計)を発表した。両社とも、1位は作家・佐藤愛子さん(94)のエッセー「九十歳。何がめでたい」(小学館)だった。村上春樹さんの「騎士団長殺し」(1・2部、新潮社)は、日販が5位、トーハンが7位だった。

 2位は、日販が「ざんねんないきもの事典」(今泉忠明監修、高橋書店)。トーハンが「伝道の法」(大川隆法著、幸福の科学出版)。3位は、両社とも恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)。複数巻にわたる村上さんの長編作では09年の「1Q84」(1・2巻、新潮社)が1位を記録したが、「騎士団長殺し」は伸び悩んだ。

 小学館によると「何がめでたい」は昨年8月の発売以来、発行部数は105万部に上る。佐藤さんの直言が受け、トーハンによると、昨年9月以来、63週連続で週間ベストセラー(20位以内)にランクインしている。

 発表を受け、佐藤愛子さんは次のようにコメントした。

 この本は、91歳のときにこれで最後だというつもりで「晩鐘」という小説を刊行して、あとは何もしないつもりでいたらウツ病みたいになって。これは困ったぞということで書き始めたエッセイなんです。それがこんなに売れて、おかしいですよね。私は作家という仕事を商売と思ったことがないので、売れた、売れたというふうに表現されると、だからどうした、と毒づきたくなるのですが、たくさんの人に面白がって読んでもらったと思えば、それは素直に嬉(うれ)しいです。私自身、自分が面白がることが好きだから、人が面白く思ってくれたと思うと、ああ良かったと思いますね。

 この本を読んで勇気をもらった、元気をもらったという人が多いそうですが、私は自分が思ったことを書いているだけなので、どうして読んだ人が勇気が湧くんだか私自身にはわからないんです。私は昔から同じように好き勝手書いてきて、かつては顰蹙(ひんしゅく)を買ったり悪(あ)し様(ざま)に思われたりしていましたから。それが時代が変わって、顰蹙じゃなくて勇気となった。日本人がずいぶんと変わったんだなぁと思いますね。(塩原賢)