【動画】「中国人の日本語作文コンクール」で最優秀賞を受賞し、スピーチする河北工業大4年の宋妍さん=延与光貞撮影
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 第13回「中国人の日本語作文コンクール」(主催・日本僑報社、メディアパートナー・朝日新聞社)の表彰式と受賞者のスピーチ大会が12日、北京の日本大使館で開かれた。日中国交正常化45周年の節目の年に、中国各地の189校から4031本の応募があった。

 最優秀賞(日本大使賞)には、周囲に呼びかけて東日本大震災の復興支援ソングを歌った体験をつづった河北工業大の宋姸さん(22)の「『日本語の日』に花を咲かせよう」が選ばれた。宋さんは「日本のために何かしたいと思っている人はたくさんいる。無数の仲間たちの心が伝わればうれしい」と話した。

 横井裕大使は受賞者たちを前に「日本の同世代の若者と交流して、将来の日中友好の担い手になってくれるよう期待している」と話した。(北京=延与光貞)

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 第13回「中国人の日本語作文コンクール」(主催・日本僑報社、メディアパートナー・朝日新聞社)の主な受賞者は次の通り(敬称略)。

【最優秀賞】(日本大使賞)宋姸〈河北工業大〉

【一等賞】邱吉〈浙江工商大〉▽張君恵〈中南財経政法大〉▽王麗〈青島大〉▽黄鏡清〈上海理工大〉▽林雪婷〈東北大秦皇島分校〉

【二等賞】王曽芝〈青島大〉▽劉偉婷〈南京農業大〉▽孫夢瑩〈青島農業大〉▽汝嘉納〈同済大〉▽王静●(●は「日」へんにつくりが「匀」)〈中国人民大〉▽余催山〈国際関係学院〉▽李思萌〈天津科技大〉▽李師漢〈大連東軟信息学院〉▽劉淑●(●は「女」へんにつくりが「曼」)〈武昌理工学院〉▽賀文慧〈武昌理工学院〉▽杜玟君〈ハルビン工業大〉▽王智群〈江西財経大〉▽趙景帥〈青島職業技術学院〉▽欧嘉文〈華僑大〉▽陳艶〈上海交通大〉

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 最優秀賞(日本大使賞)を受賞した河北工業大の宋姸さんの作品「『日本語の日』に花を咲かせよう」の全文は次の通り。

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 去年11月、日本人の先生と大学の食堂へ食べに行ったときの出来事だ。お店の前で、先生と日本語でやり取りしていると、中国人の調理師さんが興味津々でこちらをジロジロ見ていて、突然「あのう、日本人ですね。この牛肉ラーメンが一番美味しいですよ。お勧めですよ」「こちらでゆっくりお待ちください。出来上がったら、お呼びしますよ」と親切にゆっくりとした中国語で先生に話してくれた。以前は珍しい光景だったが、昨今このような優しい対応が増えている現状に、先生は驚きというよりは、むしろ喜びを感じているように見えた。「日本人とペラペラ話すなんてすごいじゃん。私にも簡単な日本語を教えてくれない?」と調理師の彼は丁寧に私に頼むやいなや、日本についていろいろ聞いてきた。なるほど、日本に興味を持っている人は少なくないのだ。

 今日、日中貿易が盛んになっているため、中国に進出した日本人や、日本に第一歩を踏み出して日本文化を味わう中国人が次第に多くなっている。頻繁な日中交流の流れのおかげで、中国人の日本人に対する印象も徐々に良くなってきただろう。のみならず、日本語や日本人をもっと知りたいという中国人も多くなってきているようだ。だが、残念なことに、日本や日本語に触れ合える場が少ないという問題がある。「日本語の日」は、これを打開するのに、まさにうってつけの火付け役に違いない。

 ある日の授業で見たビデオで、東日本大震災で被災者がどれだけ大きな被害にあったのか身にしみるほど感じた。そして、NHKで「100万人の花は咲く」のミュージックビデオの活動も知った。日本人はもちろん、オーストラリア人までもビデオを投稿した。外国人が歌うと、メロディーにあまり合っていない子どもみたいな歌声だったが、いつの間にか、励ましの声が心の底に届き、私もやりたい思いにかられ、職業を問わず、大学構内にいる人に声をかけて誘ってみた。予想外に、歌ってくれる人は多かった。

 最も印象に残ったのは、大学の食堂で働いている青年だ。

 「あのう、すみません。日本語が全然わかりませんが、参加してもいいですか?」と私は調理師の服装をした彼に声をかけられたので、「はい! もちろんできますよ。教えますから」と答え、日本語の五十音図からメロディーまで教えた。発音はそれほど正しくなかったが、彼は心を込めて大声で歌ってくれた。

 彼のお母さんはお金を稼ぐため、現在日本で働いている。残念なことに、2011年お母さんは日本で地震に遭ってしまった。もともとお母さんとの連絡は少なかったが、その時通信が完全に途絶えてしまったので、心配でいてもたってもいられなかったと教えてくれた。幸いなことに、日本人のボランティアは、彼のお母さんを助けてくれ、地震発生から数日後、彼は連絡が取れた。母を助けてくれた恩返しをずっとしたいと思っていた彼は、今回の活動はちょうどいい機会だと語ってくれた。

 今年の母の日に、彼は撮影した動画をお母さんに送ると、受け取ったお母さんは、そんな彼を誇りに思い、すぐに周りの日本人に見せたそうだ。みんな「いいね」と言ってくれた。小さなことかもしれないが、その価値はみんなに認められた。

 この一人の青年のおかげで、参加者が増え、中国人の運転手さんやケニア人の院生も参加してくれた。参加者の幸せな笑顔は、まるで花が鮮やかに咲き誇っているようだ。

 「日本語の日」に私一人では大したことができないが、日本語を学びたい中国人や、日本の何かの役に立ちたい中国人など、日本語や日本に触れ合いたい一人でも多くの人と共に、日本語を学びながら、「花は咲く」という歌を歌えば、日本人の心を癒やすことがきっとできるはずだ。今、私の大学の人々は「花は咲く」を歌っている。今はまだ小さな活動だが、これが中国全土に広がり、いつか国境を越え、山を通り抜け、日本人の心に届くと信じている。