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 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)は、胎児の体を包み、出産後に捨てられる羊膜の細胞を使って、消化管で炎症が起きる難病「クローン病」などの治療を目指す臨床試験(治験)を始めると発表した。北海道大学病院と共同で、来春以降、10人前後の患者に細胞を点滴して安全性や効果を調べる。

 羊膜には、骨や脂肪の細胞に変わることができ、免疫反応を抑える「間葉系幹細胞」が多く含まれる。グループは、帝王切開を受ける妊婦から事前に同意を得て、出産時に羊膜を提供してもらい、細胞を取り出す。羊膜の間葉系幹細胞を使う治験は初めてで、低コストの細胞移植治療につながる可能性がある。

 クローン病は胃や腸などの消化管で炎症が起き、腹痛や下痢、血便といった症状が出る。国内の患者は約4万人。免疫細胞の過剰な働きが一因とみられているが、原因不明で根本的な治療法がない。

 治験は免疫や炎症を抑える薬が効かない患者が対象。細胞の点滴後1年間、安全性を調べ、有効性も評価する。並行して骨髄移植後に免疫反応の異常で起きる急性移植片対宿主病(GVHD)への治験も進める。

 グループの山原研一・兵庫医科大准教授は「安全性が確認できれば、製造販売の承認を目指す次の治験を始めたい」と話している。

 間葉系幹細胞は骨髄や脂肪組織にも含まれ、骨髄から採った細胞は、国内でもGVHDの治療で製品化され、クローン病も海外で治験が進む。ただ、骨髄は骨の中から採るため、提供者の体に負担をかけ、採れる細胞の数も限られる。山原さんによると、羊膜では、妊婦1人あたり数百万~数千万個の細胞が効率的に採れ、提供者の負担も少ない利点があるという。(阿部彰芳)