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 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園、朝日新聞社・日本高野連主催)のトーナメントを、47都道府県での地方大会から甲子園の決勝までを一つにして、1枚の紙にまとめている人がいる。秋田県能代市の久保市誠さん(68)。今夏の大会に参加した全3839チームを手書きした紙は、横幅15・5メートルになった。

 使うのはロール状の模造紙で、縦幅は70センチ。作業は各地方大会の組み合わせ抽選日を調べるところから始まる。6月に抽選が行われると、翌日の新聞などからトーナメントを入手。勝ち上がりも追いかける。

 そして夏の甲子園の最初の組み合わせが決まったら、好きなブロックを一つ選んで紙の左端から書き始める。各地の代表校は紙の中ほどにやや大きく。その下に、地方大会のトーナメントを万年筆で下書きなしで書いていく。地方大会の出場校を書くスペースは、幅4ミリしかない。次の組み合わせ抽選後、残りのブロックも対戦カードに従って右へ書き広げていく。

 手のかかる表を作り始めたきっかけは、秋田市の会社で営業職をしていた1976年にさかのぼる。夏のある日、会社帰りにふと思った。「地方大会と本大会で一つのトーナメント表を作ったら面白いかな」

 早速やってみた。その時は都道府県別に地方大会を紙に書き、甲子園での組み合わせが決まった後にテープで貼り合わせていた。仕事が忙しくて数年で中断したが、6年前、秋田大会の決勝で地元の能代商(今の能代松陽)が優勝するのをテレビで見て感動し、再開を決意した。「寝た子を起こされました」

 貼り合わせると見た目が悪いので、1枚紙を使うやり方に変えた。昨年は約800校を書いたところで対戦カードを間違えたことに気づき、一からやり直した。地方大会によって出場校数が違うため、トーナメントの高さを調整する必要もある。苦労は多いが、「それもまた楽しい」。

 再開した年、近所に住んでいた能代商の主将に、学校名と主将の名前をトーナメント表の秋田大会の頂点に書いてもらった。それからは、秋田大会の優勝校の主将に校名などを書き込んでもらうのが恒例行事となった。「記入は主将へのプレゼント。責任を負って務めたわけだから」

 来夏の第100回記念大会では新たな計画がある。「地方大会の代表全56校に手紙を出し、主将直筆の学校名と主将名を集めたい」。裏がシールになっている記入欄を郵送し、書き込んでもらう。そんな夢に今から胸を躍らせている。(緒方麦)

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