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 有期契約の教職員を最長5年で雇い止めにする規則を定めている東京大学が、この規則を撤廃する方針を固めた。有期で5年を超えて働くと無期契約への転換を求められる労働契約法の「5年ルール」の適用を阻む規則だとして、労働組合が撤廃を強く求めていた。東大で有期で働く8千人近くに無期転換の道が開かれることになり、同様の規則を定めている大学や研究機関にも影響を与えそうだ。

 東大や東大教職員組合によると、1年契約のパートタイムの教職員(約5300人)は雇用期間の上限を通算5年にすると就業規則などで定められており、契約を4回までしか更新できない。東大は、長期間勤務している約500人は無期契約に転換する一方、残りの約4800人の雇用期間は最長5年で変えない方針を示していた。有期のフルタイムの教職員(約2700人)にも同様の規則がある。ともに来年4月に発動する「5年ルール」が適用されないため、組合は「無期転換を促す法の趣旨に反する」と批判していた。

 東大は来年4月1日付でこの規則を撤廃する方針だ。「安心してより高いパフォーマンスを発揮してもらうため、有期、無期を問わず全ての教職員の働き方や雇用環境を改善することを最重要と捉えた」(広報課)と方針転換の理由を説明している。

 ただ、すべての有期雇用の教職員が無期契約になれるわけではない。新しい規則では、プロジェクト単位の仕事など終了時期が明らかな業務には、更新回数や契約期間の上限を設けられる。無期雇用になっても、契約の対象業務がなくなれば雇用契約は切れる。組合幹部は「有期の教職員の多くが安定雇用を望んでいるが、全員が無期転換されるわけではない。強引な雇い止めが起きないか注視する」と話す。

 「5年ルール」を巡るトラブルは東北大や大阪大など他大学でも起きている。この問題に取り組む首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長は「東大の方針転換は大きな成果。他大学にも影響を与えるだろう」と期待する。(米谷陽一、編集委員・沢路毅彦)

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 〈労働契約法の「5年ルール」〉 有期雇用で働く人たちの「雇い止め」の不安を解消する狙いで設けられるルール。有期の雇用契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、無期契約に転換できる権利を与える。雇う側は転換の申し込みを拒否できない。2013年4月に施行された改正労働契約法に盛り込まれ、18年4月から順次、無期契約になる人が出てくる。

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