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 1956年3月18日に訪日したダレス米国務長官と重光葵外相との会談に同席した船田中(なか)防衛庁長官が「憲法改正が日本で目下問題となっている。何故に米国はかつて手をつけなかったか」とダレス氏に迫る場面が20日公開された外交文書で明らかになった。61年前、現政権与党議員の祖父にあたる政治家らが冷戦下における改憲の必要性を議論した様子が浮かび上がった。

 会談録によると、日本側の同席者は岸信介・自民党幹事長、河野一郎農相ら約10人。安倍晋三首相、河野太郎外相、そして船田元(はじめ)・元党憲法改正推進本部長ら現政権与党にいる政治家の「おじいさん」たちだ。

 当時の鳩山一郎内閣は再軍備・改憲路線。ダレス氏は「憲法上今直ちに相互防衛を作ることができぬ状況であるから、憲法は改正する必要がある」と述べ、「しかしこれはミリタリズム(軍国主義)の復活を意味することであってはならぬ」とも注文をつけた。

 また後に同年10月の日ソ国交正常化交渉に臨む河野氏は、東西冷戦の影響で日本の国連加盟が実現しなかったことを「遺憾である。ソ連は加入問題を日米関係を悪化させる道具に使っている」とやり玉にあげたダレス氏に、「日本人は(中略)ソ連のやることは無条件でこれを通すくせがあり、かえって台湾、米国政府のやり方をうらんでいる。米としても考慮して貰(もら)いたい」と反論した。発言には砂川闘争など当時の米軍基地問題による反米感情の高まりなども影響したとみられる。

 会談には重光外相も出席したが、会談録には岸氏を含めて発言はなかった。国際日本文化研究センターの楠綾子准教授は「先に公開された米側の記録を読むと、今回の議事録はすべての発言を収録しているわけではないが、河野氏の発言はかなり率直。政権の中で有力者だったことを改めて示している。日米関係のなかで河野氏の評価は難しいが、人物の面白さが浮かぶ」と指摘した。(又吉俊充)

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