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 障がい者スポーツへの理解を深めるサッカーイベントが12月2日、福岡大学で開催された。3年後の東京パラリンピックに向けても注目される障がい者スポーツ。このイベントでは、視覚障がい者と精神障がい者が同じグラウンド内でプレーする取り組みも実施された。その狙いや意図について、福岡大スポーツ科学部教授で、同大サッカー部の乾真寛監督(57)が語った。

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 このほど障がい者の二つのフットサル大会を福岡大学で同時に開催した。精神障がい者を対象とした「九州・四国スカンビオカップ」と「ブラインドサッカー西日本リーグ2017最終節」だ。同じグラウンド内でコートを分けてプレーした。

 スカンビオとは、イタリア語で「交流」を意味する。運営には大学のサッカー部員約100人、学生ボランティア約100人が携わり、サッカー部員が普段練習を教えている小学生や親ら約200人も見学。学生や子どもたちはアイマスクを着用しての「ブラインドサッカー」も体験した。

 見学者や親子はその迫力やひたむきさに圧倒されているように感じた。医師に相談し、精神障がい者の方々のなかには「ブラインドサッカー」を経験した人もいた。

 狙いの一つは、障がい者スポーツを支える輪を広げることだ。これまで障がい者スポーツは競技ごとの関係者が熱心に取り組んでいることが多く、少人数で、それ以外の人々の目にふれる機会はそうない。同じ競技でも障がいの種類や度合いが違えば、接することは限られているのではないだろうか。

 しかし、精神障がい者も視覚障がい者も同じグラウンドでプレーすることで、違う種目をお互いが知ることができ、健常者と障がい者、障がい者と障がい者の交流もできる。

 昨年4月、障がい者サッカー7団体を統括する「日本障がい者サッカー連盟」が発足した。団体のスローガンは「サッカーなら、どんな障害も超えられる」。同じ競技の異なる障がい者団体が横断的に結びつくことで、人手や資金の支援体制づくりや要望も集中化できると期待されている。

 2020年には、東京パラリンピックがある。今回のイベントで感じたのは、大学や地域が協力すれば、障がい者スポーツは広まっていくということだ。参加した親子も家に帰って、障がいがある方への接し方について話すだろう。今こそ「する」「みる」「ささえる」スポーツ文化を定着させる絶好のチャンスである。(乾真寛・福岡大監督)

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 いぬい・まさひろ 筑波大大学院を修了し、現在は福岡大スポーツ科学部教授。1990年からサッカー部監督で、全国優勝1度、準優勝5度。05年ユニバーシアード大会では、日本代表を率いて史上初の3連覇を達成。永井謙佑、坪井慶介、黒部光昭らのA代表、Jリーガーを多数育てた。日本サッカー協会公認S級コーチ。57歳。