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 長崎原爆の爆心地近くにいたのに受けられる援護で被爆者と差がある「被爆体験者」388人が、被爆者と認めるよう長崎県などに求めた集団訴訟で、うち387人の敗訴が確定した。最高裁第一小法廷(木沢克之裁判長)が18日、被爆体験者側の上告を退ける判決を言い渡した。原爆投下直後に爆心地周辺に近づいた、とも訴えた1人については、審理を地裁に差し戻した。

 国はこれまで、投下時に国の指定エリア外にいた場合、原爆投下直後に爆心地周辺に近づくか、被爆した人の救護や遺体処理などで放射能を浴びた人たちに限り、被爆者と認める方針を示してきた。こうした国の姿勢を最高裁が追認した内容で、同種の訴訟が争われている福岡高裁や広島地裁の審理に影響しそうだ。

 国は、長崎の爆心地から最大約12キロの範囲を被爆地域と指定している。この地域にいた人は被爆者と認められ、医療費の自己負担分が原則無料になり、体調に応じて手当も出る。だが、最高裁で審理された388人は約12キロ圏内にいたが、指定地域外のため、手当などを受けられない「被爆体験者」とされ、区別されてきた。

 訴訟で、被爆体験者たちは、爆心地からの距離は被爆者と同じことから「放射性降下物を浴び、原爆の放射能の影響を受けるような状況にあった」と主張。被爆した人の救護などで放射能を浴びた人と同じく被爆者と認めるよう主張した。

 だが、2012年6月の一審・長崎地裁判決は「原爆により健康被害を生じたと認められる証拠はない」などとして訴えを退け、昨年5月の二審・福岡高裁判決も支持していた。

 一方、一、二審判決は、原爆投下直後に爆心地周辺に近づいたとも訴えた1人については、提訴後の11年に死亡したことから、近づいたことへの判断はせずに「死亡で訴訟は終了した」と結論づけていた。(岡本玄)

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 〈被爆体験者〉 長崎に投下された原爆の爆心地から12キロ圏内にいたが、国が指定する被爆地域(爆心地から南北約12キロ、東西約7キロ)からは外れた人たち。被爆者健康手帳とは別の「第2種健康診断受診者証」が交付され、被爆者と同じ健康診断を年1回受けられ、特定の病気については医療費が支給される。だが、医療費の自己負担が原則なしで、特定の病気になれば健康管理手当なども支給される被爆者とは援護内容に差がある。