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Round19 AI、どこまで進化するの 庄司vs.論説委員前編

 AI(人工知能)が進化して、人間のいろいろな働き先がなくなる。そんな話題を耳にするようになり、お笑い芸人の庄司智春は「この仕事はAIが今後取って代わるんだろうか」という目で世の中を見てしまう。

 それでは、芸人は安泰なのか。AIで大喜利を研究している人がいる。与えられたお題に、AIが返す答えは意外と面白かった。

 AIは、大量のデータを蓄積し分析する。例えば、だ。おれは現時点では「ミキティーー!」と最もいいタイミングで言えると自負している。だけど、もっと優れた間合いを会得したAIが現れてもおかしくない。いまは冗談として話しているけど、現実にならないと言えるだろうか。

 「ぼくは囲碁が好きなんですが、21世紀初頭に研究者にアンケートをしました」と今回の対談相手で科学技術が専門の朝日新聞論説委員・大牟田透はかつての取材を紹介した。

 1990年代にAIがチェスの世界王者を負かし、次は将棋だろうと言われていた。しかし、よりゲーム性が複雑な囲碁はまだまだ遠い目標と思われていた。そこで、世界各地の研究グループにいつごろAIが世界王者を下すようになるか聞いてみた。

 「答えの平均は2043年ぐらいでした。ところが2016年には現実になってしまいました」

 AIのすさまじい進化のスピード。庄司は最近目の当たりにした光景を思い出した。

 ある芸能人が米電気自動車メーカー「テスラ」の車を現場に持ってきた。スマートフォンのアプリで操作すると、ウィ~~ンと駐車場から出てきた。ガルウィングは、そばに別の車がいれば控えめな感じに、いなければガバッと開くんだそうだ。

 すごい、とうなった。同時に、きもちわる、という言葉も出た。なんか進化し過ぎで… もちろん、未来の車を間近で見せつけられた褒め言葉なんだけど。

 帰り道、愛車を運転しながら、稼いでいる人はすごいな、と思った。けれど、考えてみると、携帯電話だって、最初はお金持ちのステータスだった。でもいまはみんな当たり前のように使っている。

 「庄司さん、車が大好きですよね。車はAIを考えるうえで、すごく重要なんです」と大牟田は応じる。自動運転の2台がすれ違えない幅の道で対向したとする。人間ならばどちらかが譲って、すれ違える地点までバックする。人間がサポートしない完全な自動運転では、AI同士でコミュニケーションをとらねばならない。

 「相手を伴うコミュニケーションの部分についてのAI研究はまだまだ分からないことが多い。そういう意味では、芸人がAIに置き換わるのはまだまだかかるでしょう」と大牟田は言う。

 確かに、漫才は同じネタでも、観客によって受ける受けないがある。自分たちや観客の体調もあるだろうし、同じセリフでも、間だったり、声のトーンだったり、で違ってくる。それらすべてを正確にデータ化して、舞台の上で臨機応変に対応するのはなかなか大変には違いない。

 でも、AIに絶対勝てそうにないことがある。すべった時、「あ、やばい。ここ受けるはずだったのに」。そういう心の動揺はなさそうだ。ハートの強さでは、まったくかなわないだろうな。

対談後編に続くAIが人間を超える日はやってくるのか。それは人類にとって幸せな未来なのか。庄司智春さんと朝日新聞論説委員の対談は続きます。
■(庄説)AIが人間を超える日は来るのか 対談後編

◇論説委員プロフィール

 大牟田透(おおむた・とおる) 大学はお得に6年で2学部(ただし、実用とは縁遠いと言われる理学部と文学部)を卒業し、1984年に入社。科学・医療関係を主に取材する。ワシントン特派員で9・11、東京科学医療部長で3・11を経験した。2013年から論説委員。

 ダボハゼ的というか、何でも首を突っ込みたがる知りたがり。極めて平凡な人間だと思っているのだが、近しくなると「宇宙人」などと言われることが重なり、最近、自己認識が揺らいでいる。58歳にして、深夜アニメなどを結構見ている辺り、やっぱり変なのかも知れない。

 庄説にお呼びがかかったのは2回目。AIに限らず、いろんなところで昔読んでいたSFのあれこれを思い出す時代になってきた気がする。人類の行く末を見届けたくて、ジムで健康づくりのトレーニングに励んでいる。