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 滋賀県内の病院で2003年、入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして有罪判決が確定、受刑した元看護助手、西山美香さん(37)が求めた再審について、大阪高裁(後藤真理子裁判長)は20日、請求を棄却した大津地裁決定を取り消し、再審開始を認める決定をした。

 決定によると、同県東近江市の湖東記念病院で03年5月、男性入院患者(当時72)が死亡。看護助手だった西山さんは翌年7月、警察の任意聴取に「呼吸器を外した」と自白し、殺人容疑で逮捕、起訴された。公判では無罪を主張したが最高裁で懲役12年が確定。約13年間自由を奪われ、今年8月に満期出所した。

 再審請求審では、患者の死因と自白の信用性が争点となった。確定判決は解剖医の鑑定書をもとに、死因を「酸素が途絶えたことによる急性心停止」とし、自白も信用できるとした。

 しかし高裁決定は、確定判決が人工呼吸器が外れていなかったと認定しているのに、鑑定書は「外れていた」前提で死因を判断しているとして「慎重な検討が必要」と指摘。解剖時の血液データなどから、患者が致死的不整脈で自然死した可能性を認めた。

 捜査段階での西山さんの自白についても「めまぐるしく変遷し、自らの体験を供述しているか疑わしい」と指摘。特に呼吸器が外れた際にアラームが鳴ることをいつ知ったのかという点については1日で供述内容が変わっており、「警察官、検察官の誘導があり、迎合した可能性がある」と言及し、「信用性が高いとはいえない」と判断。西山さんが犯人であると認めるには「合理的な疑いが残る」と結論づけた。

 検察側は最高裁に異議を申し立てる「特別抗告」をするか、5日以内に判断する。高裁決定が確定すれば、西山さんの再審は大津地裁で開かれる。(釆沢嘉高)

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 大阪高裁の再審開始決定について、大阪高検の田辺泰弘次席検事は「検察官の主張が認められず、即時抗告が認められたことは遺憾。決定の内容を十分に検討し、適切に対応したい」とのコメントを出した。滋賀県警刑事企画課は「見解をお答えできる立場ではないので、コメントは差し控える」とした。