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 1986年11月の日中首脳会談で中曽根康弘首相(当時)が中国共産党の胡耀邦総書記(同)に対し、中国との国交樹立を希望するという韓国首脳の意向を伝えていたことがわかった。中曽根氏は「韓国、北朝鮮、中国、米国による4者会談」を開催したいという韓国側の要望も伝達。朝鮮半島をめぐる積極的な「仲介外交」を試みていた。

 外務省が20日に公開した外交文書でわかった。中韓の国交正常化は92年で、この時期は国交がない。中曽根氏は86年9月に訪韓して全斗煥大統領(同)と会談しており、全氏から直接、こうしたメッセージを託されたとみられる。

 文書によると、中曽根氏は胡氏に「先の訪韓の際、韓国の首脳から中国との国交、それに至らぬとしても、経済文化等民間の交流を拡大するよう希望していることを中国政府に伝えて欲しいと言われた」と説明。「そのうち一つはLT事務所のようなもの、通商代表部ならなお良いが、そういうものを中韓間で設置したいということ、もうひとつは88年のソウル・オリンピックに協力して欲しいということであった」と述べ、具体的な手法にも触れた。

 LT事務所とは、日中に国交がない時代に経済交流を担い、国交正常化の地ならしの役割を果たした「LT貿易」の枠組みで相互に置いた連絡事務所を指す。

 中曽根氏は「中韓間にLT事務所のようなものが出来れば日朝間に同様のことをすることが出来る。これによって北朝鮮を北極海(旧ソ連)の方に向かせず我々の方に向かせることが出来る」とも語り、日本と北朝鮮の関係改善にも踏み込んだ。これに対し、胡氏は「北(朝鮮)側に漏らして感触を聞いてみることは出来る」と応じた。

 中曽根氏は4者会談について、「韓国首脳は南、北、中、米という休戦会談の当事者の4者会談を希望している」と述べ、朝鮮戦争(53年に休戦)に関わった4者による会談という韓国側の要望を伝えた。「これはソ連を排除することが出来るという点で良いということのようだ。御検討を願う」(田嶋慶彦、金順姫

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