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 多くの歩行者が、信号機のない横断歩道で車が止まってくれないと実感していることを先週、伝えたところ、運転者の意見について触れないのはおかしいという声が届きました。今回は、運転席からの声です。そして、実際に横断歩道で車が止まるかどうか、日本自動車連盟(JAF)が全国調査した結果を紹介します。

かえって危険なことが

 なぜ、止まることをためらうのか。朝日新聞デジタルのアンケートから、理由に触れた声の一部です。

●「通勤時は横断歩道で停車すると、後続車にあおられる。駅前などでは1人に譲ると、ノロノロ横断している間にまた1人続いてまた1人と、待たなければならない」(神奈川県・40代男性)

●「横断歩道で止まるのは、正直物すごく気を使います。まず対向車の距離、速度を確認。バックミラーで後方車の確認をします。後方車が近いとおおかた止まれません。急停止すると追突事故が起こる確率が高まるからです。信号のない横断歩道はたいてい信号から離れているので速度が出ています。離れていると減速して止まれますが、後方車がない場合か遠い場合はそのまま通過します。渡る側はゆっくり渡れるからです」(滋賀県・40代女性)

●「横断歩道の前に立っていても渡ろうとしているのかどうかはっきりしないこともある」(福島県・70代男性)

●「35歳で運転免許を取るまで横断歩道に人が立っていたら車は止まるというのを知りませんでした。それくらい横断歩道で車が止まってくれたことがなかった。夜道で止まってくれた車があり、珍しいなと思ったら、パトカーでした」(千葉県・50代女性)

●「街灯がない横断歩道だと気づいたときには、急ブレーキが必要になる場合があります。できるだけ明るくするなど気がつきやすい状況を作ってもらえたらとおもいます」(静岡県・40代男性)

●「以前、横断歩道で高齢者の方を待つために停車しました。高齢者の方はこちらを見て横断を始めましたが、対向車は停車せず、事故になりかけました。ルールを守ったことが原因で事故が起こることもあり、深刻な問題だと思います」(島根県・30代男性)

●「横断歩道が車からだと見えにくいのも事実」(神奈川県・40代男性)

●「歩行者がいたので停止しましたが、歩行者はクルマが過ぎてから渡ろうとしていたようで、なかなか渡ってくれませんでした。横断中の歩行者がいたら停止しますが、最近は、横断歩道の手前で立っている歩行者は『渡る気なし』と判断してそのまま進むようにしています」(兵庫県・40代男性)

●「下手に止まらないほうがいいというのは非常にまれなケースだと思います」(神奈川県・20代男性)

●「信号が多いうえ横断歩道で止まってたら渋滞しちゃってしょうがないんじゃないでしょうか?」(東京都・50代女性)

●「横断歩道に歩行者が待っているのを見て停止すると、右側をスピードを上げてすり抜けるドライバーが時々いる。自分が止まったために大惨事を招いたのではたまらない」(群馬県・40代女性)

●「反省してます。ドライバーとして」(香川県・60代男性)

●「リバックさんの意見に同感です。私自身も止まらないことが習慣になっていて恥ずかしいです」(広島県・40代男性)

マナーではなくルール

 自分は止まっている、という人たちの声です。

●「横断歩道に歩行者を見かけたら停車するが、歩行者の側が渡ってくれず、逆に通過するよう促されることが多い。譲り合ったあげく、同時に動き出してひやりとすることもある」(東京都・40代女性)

●「自分は対向車のひんしゅくを感じながら停止します。対向車の半分くらいは停止しますね。私の地元では小学生が横断歩道を渡り切った後、振り向いて『ありがとうございました』と、通学用ヘルメットを押さえながら深々と頭を下げます。とても悲しくなる瞬間です」(群馬県・60代男性)

●「歩行者を見つけたときは必ず停止している。これは、教習所で習ったことで、当たり前の行動である」(大阪府・50代男性)

●「横断歩道を渡ろうとする歩行者がいると必ず停止するようにしています。これはマナーではなくルールです。運転免許証を持つ全ての人は免許を取るときに習ったはずです」(大阪府・40代男性)

●「歩行者がいる場合は必ず停止するが、対向車線の車が停止せず、後続車両からの催促などでやむなく発進せざるを得ないことがたまにある」(茨城県・50代男性)

●「原則は横断歩道付近では減速し、歩行者がいれば止まって譲っています。たまに車に先を譲ってくれる人がいますがかえって対応に困ります。先に渡るよう促しても渡ってくれないので仕方なく車を動かし始めると斜め横断してくる人や自転車がいてひやりとした経験が何度もあります」(東京都・40代女性)

●「確かに止まらないことは多かった。最近は全部止まっています」(京都府・60代女性)

9割以上、止まらず JAF調査

 「日本では信号機のない横断歩道で歩行者が待っていても車は止まらない」。この主張についてみなさんの実感を尋ねた朝日新聞デジタルのアンケートには「同じ」「近い」の回答が合わせて8割を超えました。

 実際に止まらない車は、どの程度か。参考になるのが、今年8~9月にJAFが取り組んだ実地調査。昨年に続いて実施しました。片側一車線の道路(付近の制限速度が時速40~60キロ)にある、信号機のない横断歩道を選びました。各都道府県2カ所、計94カ所で平日の午前10時~午後4時に調べ、通行車両は1万251台でした。

 JAF職員が歩行者役になって横断歩道の端に立ち、ドライバーに視線を送るなど、渡ろうとするそぶりを見せる(手を上げるなどのジェスチャーはなし)といった条件をそろえ、晴天時のみに実施しました。その結果、一時停止した車は867台、8.5%(昨年比0.9ポイント増)に過ぎず、9割以上の車が停止しませんでした。

 いちばん停止率が高かったのは昨年に続き、長野県(長野市内、2カ所平均64.2%)。全国94カ所のうち2カ所(昨年は8カ所)の横断歩道では、一時停止率が0%、1台も止まりませんでした。

 一方、JAFは昨年6月、ホームページ(HP)で全国の自動車ドライバーに「交通マナー」に関するオンラインのアンケート(有効回答者6万4677人)をしています。「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い」に、「とても思う」43.7%、「やや思う」42.5%と、85%以上が、ルールが守られていない現状を認めています。半面、「信号機のない交差点で歩行者が渡ろうとしているときは一時停止しなければいけないことを知っているか」の質問には、「知っており、行動に移している」が70.7%と、「知っているが、たまにしか行動に移せていない」の27.8%を大きく上回りました。

 「自分は一時停止しているけれど、全体的にはルールが守られていない」と思うドライバーが多くアンケートに答えたようです。

 またJAFは今年6月に、ドライバーが信号機のない横断歩道で一時停止しない(できない)理由について、HPでアンケートをしました(有効回答者数4965人、三つまで回答可)。その結果、「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」を選んだ人が44.9%で一番多く、「後続車が来ておらず、通り過ぎれば歩行者は渡れるから」41.1%、「歩行者が渡るかどうかわからないから」38.4%などが続きました。(中島鉄郎)

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