拡大する写真・図版赤星さんのイラスト。1人目、2人目、両方の不妊治療を経験し、それぞれに違う悩みがあることも実感した

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 「妊活やめた人の『未練がない』は全部ウソ――不妊治療やめました」

 赤星ポテ子さんが、自らのブログで不妊治療「中退」を宣言した記事のタイトルです。思いを立ちきるため、診察券にはさみを入れ、残してあった薬をすべて処分したそうです。それでも不妊治療をしている人が妊娠したという話を耳にすると、「私ももっとがんばればよかったのでは…」と心がザワザワしてしまう。そんな気持ちが率直に書かれています。(赤星さんのウェブサイトは、http://akahoshi-poteco.com/別ウインドウで開きます)ネット検索でトップになったこともあるそうです。共感する人が多いのでしょう。

 

 取材では、お互いの家族や仕事の話題で盛り上がり、長く話し込んでしまうこともありました。忘れられないのは、いつになく低い声で「私絶対、(不妊治療を)再開しません」と言い切ったときの、強いまなざしです。

拡大する写真・図版治療を続けたい気持ちを断ち切るために、保管してあった薬を処分した

 不妊治療をやめてスパッと新たな人生が幕を開けたわけではなく、後ろを振り返ったり、周りを気にしたり、思わず立ち止まってしまったりする日々こそが、「中退後を生きる」ということなのだと教えていただきました。

 赤星さんを紹介してくださったのは出産ジャーナリストの河合蘭さんです。「出生前診断――出産ジャーナリストが見つめた現状と未来」(朝日新聞出版)、「不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる『妊娠への近道』」(講談社)など話題作を次々と世に問い、小説にも活躍の場を広げ、写真家でもあります。そんな河合さんが、カメラを通して家族やお産の現場を見つめる写真プロジェクト「Birth Birth Birth」を始めました。お店や出産施設の一角で写真展を開きながら、ウェブギャラリーでも写真や動画を公開しています。(河合蘭さんのウェブギャラリーは、http://www.kawairan.com/gallery/別ウインドウで開きます

 

拡大する写真・図版息子を授かった不妊クリニックを久しぶりに受診し、大改装に驚いたことをイラストにした

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<アピタル:患者を生きる・妊娠・出産>

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(冨岡史穂)