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 米トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題について、国連総会(193カ国)は21日(日本時間22日未明)に緊急特別総会を開き、米国に方針の撤回を求める決議案を128カ国の賛成多数で採択した。反対は9カ国、棄権は35カ国。日本は英仏中ロや韓国、ドイツなどとともに賛成した。

 総会決議に法的拘束力はないものの、国際社会の意思としての重みがある。

 反対したのは、米国とイスラエルに、グアテマラ、ホンジュラス、トーゴ、ミクロネシア、マーシャル諸島、パラオ、ナウルを加えた計9カ国。棄権した35カ国には、豪州、カナダ、ハンガリー、メキシコ、南スーダン、ポーランド、ルワンダ、ウガンダなどが含まれている。

 決議は「エルサレムの地位を変えるいかなる決定も無効。撤回されなければならない」と要求。米国を名指しすることは避けながらもエルサレムの地位に関する「最近の決定」に「深い憂慮」を示し、事実上トランプ政権に方針撤回を求める内容だ。

 この日の会合では米国への懸念や批判が相次いだ。

 パレスチナ自治政府のマルキ外相は「米国がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことで、中東和平における米国の将来の役割を無効にした」と述べた。米国は中東和平の公平な仲介者になれなくなったという認識を強調したものだ。イエメンの代表は、安全保障理事会での米国の拒否権行使を「非難」した。

 一方、ヘイリー米国連大使は、国連機関にとって米国は資金などの「圧倒的な拠出国」だと強調した上で、「国連に寛大な貢献をしている時、我々の善意が認められ尊重されるという正当な期待を抱く」と不快感をあらわにした。

 さらにヘイリー氏は「米国はエルサレムに大使館を置く。国連での採択はいかなる影響も(米政府の決定に)及ぼさない」と強調。その上で「今回の採択(各国の投票行動)は、米国人の国連観と、国連で米国を軽視した国々への見方を変えるだろう」と言い放ち、会合の途中で退席した。

 日本は18日の安全保障理事会に続き国連総会でも決議案に賛成した。

 同様の決議案は安全保障理事会で18日、日本を含めた14理事国の賛成を集めたが、常任理事国の米国の拒否権で廃案に。これを受けてトランプ大統領が20日、国連総会の決議案に賛成した国への財政援助停止を示唆し、中東などから「米国の脅しには屈しない」と反発が急速に広がっていた。

 パレスチナのマンスール国連大使は21日の採択後、朝日新聞の取材に、反対が米国とイスラエル以外で7票にとどまったことを強調し、「米国は他国を説得できなかった。威圧して投票行動を変えるという現政権の作戦は惨めなまでに失敗した」と語った。

 一方、ウクライナの行動が注目されている。安保理では賛成したが、この日は投票に参加しなかったからだ。米政府の圧力が背景にある可能性がある。

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 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことを巡り、米国の方針撤回を求める国連総会(193カ国)の決議案に賛成した国への財政援助停止を示唆したことに、中東諸国などから「米国の脅しには屈しない」などと反発が相次いだ。国連の緊急特別総会が21日午前(日本時間22日未明)に始まり、決議案は圧倒的多数で採択される見通し。日本も賛成票を投じる方針だ。

 決議案は「エルサレムの地位を変えるいかなる決定も無効。撤回すべきだ」と要求。18日に国連安全保障理事会でエジプトが作成した同じ内容の決議案が採決されたが、米国の拒否権で廃案に。これを受け、トルコとイエメンは全加盟国が参加する緊急特別総会での採決を求めた。

 国連総会には拒否権はない。エルサレムの地位は当事者間の和平交渉で決めるとの国際合意があるため、大多数は決議案に賛成するとみられ、米国の孤立が際だつ結果となりそうだ。

 しかし、トランプ氏は20日の閣議の冒頭、「何億ドル、何十億ドルも受け取っておいて、我々に反対票を投じる」と牽制(けんせい)。各国の投票行動を注視するとした上で、「米国に反対すればいい。我々はたくさん節約できる。気にしない」と述べた。米国から毎年13億ドル(約1470億円)の軍事支援を受けているエジプトなどアラブ諸国を念頭に置いているとみられる。

 米国のヘイリー国連大使は、トランプ氏の意図を示した書簡を国連加盟国に送っている。

 パレスチナ自治政府のマルキ外相は緊急特別総会で演説し、「米国がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことで、中東和平における米国の将来の役割を無効にした」と述べた。イスラエルに対しては、植民地主義と平和は両立せず、いずれかを選ばないといけない、とも訴えた。イエメンの代表は「米国の政権による決断は無効で、法的な効果をもたらさない」と訴えた上で、「米国を含め、全ての国々にエルサレムに外交使節を設置しないよう求める」と述べた。

 これに先立ち、トルコのエルドアン大統領は21日、首都アンカラで演説し、「トランプ大統領、あなたは米ドルでトルコの民主的な自由意思を買うことはできない」と批判した。国連加盟国に対しては「民主主義を守る闘いのため、自らの自由意思を売らないでほしい」と決議案への賛成を呼びかけた。

 18日の安保理決議で米国方針の撤回を求める決議案に賛成した日本政府は、緊急特別総会でも賛成票を投じる方針。日本はこれまで、イスラエルと将来独立したパレスチナ国家による「2国家共存」を支持しており、「立場は変わっておらず、今回の総会で賛成することは当然の流れ」(外務省幹部)としている。(ワシントン=杉山正、ニューヨーク=金成隆一)

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エルサレム「首都」撤回を求める国連決議に反対、棄権、欠席した加盟国

反対9:グアテマラ、ホンジュラス、イスラエル、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウル、パラオ、トーゴ、米国

棄権35:アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、豪州、バハマ、ベナン、ブータン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カメルーン、カナダ、コロンビア、クロアチア、チェコ、ドミニカ共和国、赤道ギニア、フィジー、ハイチ、ハンガリー、ジャマイカ、キリバス、ラトビア、レソト、マラウイ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ルワンダ、ソロモン諸島、南スーダン、トリニダード・トバゴ、ツバル、ウガンダ、バヌアツ

欠席21:中央アフリカ、コンゴ民主共和国、エルサルバドル、ジョージア、ギニアビサウ、ケニア、モンゴル、ミャンマー、モルドバ、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、サモア、サンマリノ、サントメ・プリンシペ、シエラレオネ、スワジランド、東ティモール、トンガ、トルクメニスタン、ウクライナ、ザンビア

賛成128:日本、英国、フランス、中国、ロシアなど

(国連加盟は193カ国)