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希望はどこに 漫画家・羽賀翔一さん

 書店でベストセラーの棚に並び続けている「漫画 君たちはどう生きるか」。80年前に発表された原作小説に新たな息を吹き込んだ漫画家の羽賀翔一さん(31)が、作品への思いと自身の経験を踏まえ、一人一人が自分の意思を知ること、そしてそれを助けてくれる存在の大切さについて語ってくれました。シリーズ企画「希望はどこに」の第3回。同じテーマで、イラストも描き下ろしてもらいました。

 80年前から読み継がれてきた小説「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著)を昨年、漫画化しました。恥ずかしながら、話を頂くまで原作を知らず、お堅い教養書だろうと思って読み始めました。

 でも、主人公のコペル君が街を歩く人を見て「分子みたい」と思う場面から始まるように、言葉ありきでなく、叙情的な部分がしっかりと描かれていました。誰もが持っている、でも時と共に記憶からこぼれ落ちてしまったような経験からコペル君が感じたことを、「おじさん」と一緒に言語化していく。題名は問いかけても、答えは書かれていない。こう生きなさい、と押しつけるのではなく、考え続けるための姿勢を書いた本でした。

 吉野さんの息子さんにも話を伺いました。父が作品を書いた時は軍国主義まっさかりで、国全体が戦争に突き進む状況への危機感が強かった、それではいけないという思いを書きたかったが、検閲が厳しくてやむなく児童書にした、と。作品中、子どもたちが意識せざるうちに集団で化け物のようになる場面がありますが、まさに社会全体もそうなろうとしていると伝えたかったのでしょう。無自覚なまま何かの一部に加担してしまうことは、いつの時代も人間の本質的な問題としてある。時代背景を前面に出せず、教室の出来事などに翻訳したことで結果的に普遍的な作品になり、時代を問わず共感されるようになったのだと思います。

 漫画にする以上は面白いものにしようと、キャラクターの心情にギリギリまで迫るため、自分の経験の引き出しを片っ端から開けて感情を重ね合わせました。僕自身、コペル君と同じように母子家庭で育ち、年上のいとこの影響で絵が好きになった。小学校で、いじめられっ子をかばえずに後悔した経験もありました。大学では教員免許をとって先生になりかけましたが、本当に自分のやりたいことかと悩んでいた。「漫画家になりたい」という気持ちを、恥ずかしくて誰にも言えずにごまかし続け、就職活動のエントリーシートは1枚も書けませんでした。

ごまかさず挑んだ漫画家の夢
「悩んでいる時に求めていたのは、やっぱり『おじさん』のようなメンター(助言者)でした」

 悩んでいる時に求めていたのは…

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