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職人警官逝く DVやストーカー被害者をフォロー

丹野宗丈

 一人の「職人」が急逝した。群馬県警子ども・女性安全対策課課長補佐の村木鉄夫さん(59)。死因は脳幹出血だった。配偶者暴力(DV)やストーカー事案の捜査から被害者のフォローまで、中心となって指揮し、全精力を傾けて取り組んだ。

 「うわべではなく、本当に困っている人の役に立ちたいという気持ちが根底にあった人でした」。同課の神戸勇課長は村木さんをそう話す。村木さんは、毎日のように起きる事案や継続している案件の進捗(しんちょく)状況30~40件を把握し、指示を出していた。神戸課長は「子女課の事案は、どれだけ対処しても、被害者が亡くなるようなことがあれば失敗。村木さんはその責任ある仕事を任せられる人でした」。

 以前、朝日新聞群馬版の連載「つなぐ 捜査の職人たち」の取材の際も、村木さんは「ストーカー事案はどう転ぶか分からない。人が殺されることを何としても防ぎたいのです」と力を込めて話していた。

 自ら現場に行くこともあった。被害者に関わる行政の職員ともつきあい、被害者へのフォローも忘れなかった。佐藤浩次席は「自己犠牲をいとわない人でした。今思うと、もっと自分を大事にして欲しかったです」と悼んだ。

 妻和美さん(59)によると、村木さんは家庭で仕事のことを口にしなかったため、警察官としての村木さんについてはよくわからなかった。20日の告別式、450人ほどの人が訪れたのを見て、家族は驚いたという。以前、村木さんに子どものいじめ相談に乗ってもらったという女性が来て、「一番信頼できる警察官でした」と家族に伝えた。

 和美さんは「偉大な夫だったんだなと初めて知りました。『長い間お疲れさま。今までありがとう』と声をかけました」と静かに話した。

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