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 〈詩人のたかとう匡子(まさこ)さんの話〉 阪神・淡路大震災で街が壊れたのと同じように、それまで使っていた言葉も壊れて使えなくなったと思いました。震災関連では5冊の詩集を出しましたが、詩を書くことは、自分の言葉を回復するすべだった。でも、体験を表現するには時間が必要で、いつ、どのように書くのかは人それぞれです。

 その後、東日本大震災が起き、世界でも災害が相次ぎました。私たちは、阪神で書けなかった体験を、その後の災害を通して人間全体の問題としてとらえ、世の中に満ちている不条理から目をそらしてはいけないと作品にしている。

 震災で一番衝撃を受けたのは死者で、生き残った自分たちが物言えぬ人たちに代わって言葉を発していくしかない。文学の中に震災があり、読み手はそこから現実を知り、追体験できる。そうすれば伝えていくこともできる。

 いつ何が起きるか分からない時代ですが、人間は災害と共生していかなければならない。生きる悲しみを表現するため、どのような言葉を紡いでいくのか。これからも考え続けることが大事ではないでしょうか。