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 来年2月に迫った平昌(ピョンチャン)五輪(韓国)を前に、スキーやスノーボードなど雪上競技の選手たちが雪不足に直面している。腕を磨くために欠かせない練習場所の確保も課題になりつつある。

 「米国では(冬の)早い時期に練習するのが難しくなってきている」と嘆くのは、3月にスペインで行われたフリースタイルスキー世界選手権の男子エアリアルを制したジョナソン・リリス(米)だ。AP通信によると、エアリアルの米代表チームは10月からスイスとフィンランドの氷河のスキー場に遠征。12月に入り、冬本番を迎えたはずの米ユタ州に戻って練習を開始しようとしたところ、雪不足のためジャンプ台作りに苦労させられたという。

 リリスは全米有数のスキーリゾート・同州パークシティーでレストランを経営。スキー場が開いている時期に年間収入の70%を稼ぐというが、「(スキー場のオープンが)毎年遅くなっている」とも。今世紀末に冬の気温が4~10度上昇するという米環境NGO「天然資源保護協議会」が描く最悪の温暖化のシナリオでは、米西部の積雪はその間に25~100%減少し、積雪期は北東部で半減する可能性があるという。リリスは「20年もしたら雪上スポーツはなくなってしまう」。

 ユタ州や隣接するコロラド州はフリースタイルスキー、スノーボードの先進地。雪不足の影響は五輪を目指す日本勢にも及んでいる。

 12月に同州コッパーマウンテンで開かれたワールドカップに向け、スノーボード・ハーフパイプの日本代表チームは11月末に成田空港を出発した。ところが、現地は雪不足でハーフパイプ会場は閉鎖。予定していた事前練習ができず、一部選手はいったん帰国することになった。数日間の国内調整を経て大会直前に再渡米した2014年ソチ五輪銀メダルの平野歩夢(木下グループ)は「すぐに帰ってくることになってしまった」と苦笑いを浮かべ、「(日本で)落ち着いてしまわないよう、できるだけ体を動かしていた」と語った。

 実は、五輪が開催される平昌も雪不足に悩む。韓国気象庁によると、五輪期間に当たる2月9~25日の通算積雪量は1981~2010年の平均で41・3センチあったが、過去10年に限ると同33・5センチ。積雪は年々減っており、五輪本番の雪上競技会場は人工雪がメインになる。ただ、会場周辺の露出した地面の砂が風で雪上に飛散。スキーワックスの選択にも影響を及ぼすことになり、コース上に雪があれば万事解決というほど問題は単純ではない。冬季五輪は今後、温暖化や雪不足とこれまで以上に向き合っていく必要がありそうだ。(吉永岳央)