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 箱根駅伝は2日午前8時、東京・大手町から21人のランナーが飛び出して、始まった。

 東京の大都会を進む1区のスタート直後から、集団を先頭で引っ張ったのは順大の主将、栃木渡(4年=栃木・佐野日大高)。彼の決めぜりふはこれだ。

 「栃木県栃木市出身の栃木です。トリプル栃木と覚えて下さい」

 田舎の代名詞として、お笑いの世界などでもよく馬鹿にされがちな栃木だが、その栃木から来た栃木も、自分が入学した順大のさくらキャンパス(千葉県印西市)を最初に訪れた時は驚いた。

 印旛沼のほど近くに広がるキャンパスの周りには、道路と森以外何もない。「率直な感想として、『田舎だな』と思った」

 ここで4年間を過ごすのか、と。ただし競技者としては、すぐにその「利点」に気づかされた。「考えてみてください。信号もほとんどないから止まらずに何キロでも走れる」。そして「マイナスイオンたっぷりのきれいな空気を吸いながら走れるというのは、ランナーにとってはすごく恵まれた環境だなと」

 住めば都。年を重ねるごとに、ど田舎のさくらキャンパスと、チーム関係者への感謝の思いが膨らんだ。

 昨年の箱根駅伝は4区で区間賞。主将として臨む最後の箱根駅伝は、東京・大手町から神奈川・鶴見中継所までを駆け抜ける1区に抜擢(ばってき)された。今季、順大は出雲、全日本の両駅伝で、いずれも1区の出遅れが響いたからだ。

 「1区は牽制(けんせい)し合うことも考えられるけど、自分がうまくハイペースに持ち込みたい」。自分が前半から引っ張り、最後に1位を譲ったとしても、小差でつなげればいい。2区で待つのは、絶対的なエース、塩尻和也(3年=群馬・伊勢崎清明高)だから。

 「塩尻を生かす作戦で行きたい。自分が踏ん張れば、2区でダントツでトップに立てると思うから」

 田舎で生まれ、ど田舎で強くなった栃木が、大都会を力強く駆け抜けた。(平井隆介