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◆「聞こえない世界」を訪ねて

 岡山市南区の住宅地の中にある1軒の民家の表札に「ももハウス」と書いてある。ここは、ろう高齢者が週2回集まるサロンだ。NPO法人「岡山聴覚障害者支援センター」が運営している。

 要介護の人も、元気な人も一緒に集い、手話でおしゃべりをし、体操や手芸を楽しみ、手作り昼食を挟んで約5時間、なごやかな時間を過ごす。家族と同居している人や、連れ合いに先立たれた独居の人、老人施設やグループホームで暮らす人もいる。

 会員は現在127人で最高齢は91歳。ろう者は77人、聞こえる人が50人いる。NPO理事、土屋教子さん(59)は聞こえる人の一人だ。「ろう者同士が互いに支え合う会に、聞こえる人が共にいる、という形です」と説明する。

 会話は全て手話。世話する人とされる人の区別は緩やかだ。世話をしていた人が、徐々に世話される人になっていく。ろう者にとって、老いていく姿を学ぶ場でもある。

 NPO理事長の羽原裕子さん(70)は生後3カ月ではしかにかかり、聴力を失った。手話が偏見を持たれていた時代を懸命に生きてきた。

 15年前から聞こえない高齢者たちの居場所作りを目指し、何度も行政に相談に行った。そのたびに「高齢者が通える場所や入所できる施設はあるでしょう」と言われたという。

 でも、手話が通じないデイサービスや施設では、ろう者はひとりぼっちになる。行政が動かないなら、自分が動くしかない。ももハウスの活動をはじめ、2011年にNPO法人を取得。15年に現在の民家を借り、拠点にした。

 こんな場は県内にほとんどなく、全国でも少ない。ももハウスには岡山市だけでなく、倉敷や総社、玉野、瀬戸内などからも、ろう者がやってくる。70代の女性は「ここだと手話で思い切り話せて楽しい。いろいろな手続きなども通訳を介さずに聞けるし、手伝ってもらえる」と笑顔で手指を動かした。

■中途失聴者にも…

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