宮内庁は新年にあたり、天皇、皇后両陛下が昨年1年間に詠んだ歌の中から、両陛下が選んだものを発表した。

 天皇陛下の歌は、初訪問したベトナムが第2次大戦後も様々な戦争や紛争を経て発展したことに思いをはせたものや、タイでプミポン前国王の弔問をした際、半世紀を超える交流を思い出しつつお別れをした時の様子を詠んだものなど。皇后さまは、東日本大震災後まもなく、被災地の宮城県東松島市に、御所の庭でよく摘んでいた野蒜(のびる)と同じ地名があることを知ってからの気持ちや、鹿児島県訪問で口永良部島の住民と屋久島で懇談し、沖永良部島や与論島の島民と触れ合った3日間を大切にしている心情などを詠んだ。

 両陛下は2018年、福島県で全国植樹祭(6月)、福井県で国民体育大会(9月)、高知県で全国豊かな海づくり大会(10月)などに出席する。天皇陛下は19年4月末に退位するため、これらの行事に出席するのは最後となる。

 また、6月9日には皇太子ご夫妻が結婚25年を迎えるほか、11月4日には秋篠宮家の長女眞子さまの結婚式が予定されている。(多田晃子)

     ◇

 発表された歌。天皇陛下が5首、皇后さまが3首で、それぞれ印象深かったことが詠まれている。

 ▽天皇陛下

 〈第68回全国植樹祭〉

 無花粉のたてやますぎを植ゑにけり患ふ人のなきを願ひて

 〈第72回国民体育大会開会式〉

 会場の緑の芝生色映えてえひめ国体の選手入り来る

 〈第37回全国豊かな海づくり大会〉

 くろあはびあさりの稚貝(ちがひ)手渡しぬ漁(すなど)る人の上思ひつつ

 〈ベトナム国訪問〉

 戦(いくさ)の日々人らはいかに過ごせしか思ひつつ訪(と)ふベトナムの国

 〈タイ国前国王弔問〉

 亡き君のみたまの前に座りつつ睦(むつ)びし日々を思ひ出でけり

 ▽皇后さま

 〈旅〉

 「父の国」と日本(につぽん)を語る人ら住む遠きベトナムを訪(おとな)ひ来たり

 第二次大戦後、ベトナムに残留、彼地に家族を得、後、単身で帰国を余儀なくされし日本兵あり

 〈名〉

 野蒜(のびる)とふ愛(いと)しき地名あるを知る被災地なるを深く覚えむ

 〈南の島々〉

 遠く来て島人(しまびと)と共に過ごしたる三日(みつか)ありしを君と愛(かな)しむ