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 夏によく聞く脱水症ですが、冬でも起きることがあります。乾いた部屋の中で過ごしていると、思った以上に体の水分が足りなくなることがあるようです。ノロウイルスなど感染症にかかったときの対策としても水分補給は大切です。冬の脱水の注意点や適切な水分のとり方について、専門家に聞きました。

 水分をとる機会が減りがちなのが冬。ただ、済生会横浜市東部病院の谷口英喜・周術期支援センター長は「夏同様に、こまめな水分補給をしてほしい」と呼びかけます。

 冬は汗をかく量は減りますが、皮膚や呼気からも水分は体の外に出ています。成人の場合、1日に体重1キロあたり15ミリリットル(乳幼児は25~50ミリリットル)。体重60キロだと、1日900ミリリットルほどの水分が出ていく計算です。空気が乾いていれば、さらに増えます。

 マンションなど、気密性が高くエアコンを使う部屋の空気は乾燥しています。「加湿器を使用しなければ、外より湿度は1~2割ほど低く、体内の水分が失われやすい」と谷口さんは指摘します。

 体内の水分が減ると集中力や食欲が下がり、めまいなどの症状があらわれます。脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞になるリスクも高まるとされます。

 水分補給の目安について谷口さんは「食事のときや起床時、就寝前などに1日8回、コップ1杯程度の水分補給を」と説明しています。ただし、水分と言っても、利尿作用が強いアルコール類は逆効果です。例えばビールは1リットル飲むと1・1リットルの尿が排出されてしまいます。アルコール度数が高くなると、その量はさらに増えるそうです。

 では、脱水状態になってしまったらどうすればいいのでしょうか。

 始めは自覚症状がほとんどありません。見極めるには主に以下の方法があります。

 ①手の爪を押して、白からピンク色に戻るのに2~3秒以上かかる(手の血流が悪くなるため)

 ②唇や舌が乾いている

 ③尿や涙の量が少ない

 人間の体液には、水分だけでなく塩分などの電解質が含まれています。このため、脱水状態のときは水分と塩分を効率よく補給でき、「飲む点滴」とも言われる「経口補水液」が有効です。

 経口補水液は、ノロウイルスなどの感染症対策としても重要です。下痢や嘔吐(おうと)をすると、成人で1日2~3リットルの水分が失われますが、その中には電解質も多く含まれているからです。

 経口補水液はドラッグストアなどでも買えるますが、自宅でも簡単につくれます。水1リットルに対し、塩を3グラム、砂糖を20~40グラム入れ、透明になるまでよくかき混ぜます。レモン汁を入れると甘さが抑えられ、飲みやすくなります。

 飲む量は成人で1日0・5~1リットル。乳幼児は体重1キロあたり10ミリリットル程度。ただ、一気に飲むと電解質が十分に吸収されません。少なくとも1時間ほどかけてゆっくり飲む必要があります。乳幼児の場合は、ペットボトルのキャップを使って飲んでもらうとよいそうです。

 谷口さんは「経口補水液を飲んでも症状が改善しないときには、無理せず病院に行った方がいいでしょう」と話しています。

<アピタル:マンスリー特集・年末年始を健やかに>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/monthly/(土肥修一)