拡大する写真・図版 がん関連のチャリティーイベントに参加するGIST患者の会「GISTERS(ジスターズ)」のメンバー=メンバー提供

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 今回の取材の過程で兵庫県加古郡の女性(35)が毎日、日記をつけていることを知りました。写真を送ってもらったところ、表紙のほかに、中身が読めるものもいくつか含まれていたため、念のため記事に使ってよいかどうか尋ねると、「気持ちのまま、書いているので、私の当初の気持ちが伝わるかと思います」と快諾のお返事をいただきました。

 がんと診断された翌年の2013年1月1日の日付には、「私の夢」が書かれていました。内容を紹介します。

35歳で第2子を産む

鍼灸(しんきゅう)を続ける

継続することの意味を知る

人に優しくある

「人は苦を味わい、他人の苦を知る、そして改めようとする。大事なのは知ることではなく、改めようとし続ける実行力である」と、ベッドの上で深く深く思いました。病気になることは、悪いことだけではないのだなあ。悟るだけなら誰でもできる。夢をかなえたい。夢で終わらさないよう、持ち続け、追い求めることだ。

 切々とつづられた女性の思いをどこまでくみ取れたか、自問しました。同時に、完全に理解するのは難しいことだということも、わきまえておこうと感じました。

 情報編では、医療者側で、妊娠・出産、生殖医療に関する情報をがん患者にきちんと届けようという取り組みが進んでいることも紹介しました。治療に専念するために妊娠をあきらめる選択もあれば、里親制度という別の形で子供を持つという選択もあります。

 いずれも患者が葛藤して、それぞれ結論を出すことになります。多様な選択を取材する機会もいつか持ちたいと思います。

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<アピタル:患者を生きる・妊娠・出産>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(服部尚)

服部尚

服部尚(はっとり・ひさし) 朝日新聞記者

1991年入社。福井支局をふり出しに、東京や大阪の科学医療部で長く勤務。原発、エネルギー、環境、医療、医学分野を担当。東日本大震災時は科学医療部デスク。編集委員を経て、現在は科学医療部記者。